無料会員登録

暴落データ

金価格の反発は本物か?過去20年の「本当の底」と実質金利の関係で検証

  • 検証期間2003年〜2026年9月25日
  • 対象金価格(終値)、米国10年実質金利
  • 最終更新2026/10/10

一言結論

金は3割近く下げた後に反発したが、過去の本当の底のように実質金利がピークを付けておらず、反発が続かなかった2013年と同じ形。底打ちの可能性はあるが、本格的な上昇はまだ確認できない。

金価格は1月の最高値から約3割下落しました。その後、一時は約2割反発しましたが、9月に入ってその反発分の半分以上を失っています。これは絶好の買い場なのでしょうか。それとも、まだ下落相場の途中なのでしょうか。

金にとって重要な米国の実質金利は2.85%まで上昇し、約18年ぶりの高水準です。そこで、過去に金が大きく下落した局面で、金が最終的な底を付けた時に実質金利がどう動いていたかを調べ、今回の反発が過去のどの形に近いかを確認しました。

この記事の結論

  1. 下落率だけでは底と判断できない3割近い下落は過去の中央値並みですが、平均は36%で、下落率だけでは底と判断できません。
  2. 本当の底では実質金利のピークとの差が最大38日2003年以降に金が20%以上下落した4回の「本当の底」では、金の底と実質金利のピークの差は最大でも38日でした。
  3. 今回は70日たってもピーク未確認反発が続かなかった2013年は、安値から実質金利のピークまで70日かかりました。今回も、安値から70日たった9月24日に実質金利が今年の最高値を更新しており、ピークを確認できていません。
  4. 本格的な上昇はまだ確認できない現時点では、底打ちの可能性はありますが、本格的な上昇はまだ確認できません。
検証条件・計算方法を見る

比べる局面は、ルールを決めて選びました。実質金利のデータがある2003年以降で、金が2003年以降のそれまでの最高値から20%以上下落した局面は、今回を除いて4回あります。金の価格は終値でそろえています。

※表の「実質金利のピーク」は、いずれも金の底の前後75日間で、実質金利が最も高かった日です。

基本結果

今回の下落と反発(2026年)

表は横にスクロールできます

項目取引時間中の値段終値
最高値5,602ドル(1月29日)5,418.55ドル(1月28日)
安値3,942ドル(6月30日)3,976.58ドル(7月16日)
最高値からの下落率約29.6%約26.6%

取引時間中の値段で見ると、金は6月30日の安値3,942ドルから8月25日の高値4,697ドルまで約2割反発しました。しかし9月25日の終値は4,284.97ドルで、この反発分の約55%を失っています。

一方、米国の10年実質金利は9月24日に2.85%まで上がり、2008年11月以来、約18年ぶりの高さになりました。

※金価格は、使うデータによって数ドル程度異なる場合があります。

基本結果

下落率だけでは底と判断できない

金の業界団体であるワールド・ゴールド・カウンシルの集計によると、1971年以降、金が最高値から20%を超えて下落した場面は8回ありました。その下落率は平均で36%、中央値で29%です。なお、この集計には今回の下落は含まれていません。

比較下落率
過去8回(1971年以降)の平均36%
過去8回(1971年以降)の中央値29%
今回(取引時間中の高値・安値)29.6%
今回(終値)26.6%

今回は過去の中央値に近い水準まで下がっていますが、平均は36%です。3割近く下がったというだけで、底だと判断することはできません。価格の水準とは別の物差しが必要です。

実質金利とは何か、なぜ金に影響するのか

実質金利とは、金利から物価の上昇分を差し引いた、実質的な金利のことです。この記事では、米国の10年物価連動国債の利回りを実質金利として使います。

金は利息を生みません。そのため、実質金利が上がるほど、金を持つことで受け取れなくなる利息が大きくなり、一般に金には逆風になります。反対に、実質金利が下がると、金には追い風になります。

今年の夏の動き:実質金利の上昇が止まった8月に金は最も強かった

表は横にスクロールできます

月実質金利金(終値)
7月2.20%→2.47%(上昇)+0.9%(ほぼ横ばい)
8月2.47%→2.44%(上昇が止まる)+10.0%(最も強い)
9月2.44%→2.85%(急上昇)−3.7%(9月25日まで)

※月末の値で比較。9月は実質金利が9月24日、金が9月25日までの値です。

7月は実質金利が上がり、金はほぼ横ばいでした。実質金利の上昇が止まった8月に金は最も強く、実質金利が急上昇した9月には下落しました。

この検証の核心

過去4回の「本当の底」と実質金利

比べる局面は、ルールを決めて選びました。実質金利のデータがある2003年以降で、金が2003年以降のそれまでの最高値から20%以上下落した局面は、今回を除いて4回あります。金の価格は終値でそろえています。

※2006年の高値は、1980年1月の最高値(850ドル)を下回っており、史上最高値ではありません。

表は横にスクロールできます

局面金の底(終値)実質金利のピーク底とピークの間隔
2006年6月14日(約560ドル)6月28日(2.68%)底の14日後にピーク
2008年11月12日(約712ドル)11月21日(3.15%)底の9日後にピーク
2011〜2015年2015年12月17日(約1,052ドル)12月16日(0.84%)ピークの翌日に底
2020〜2022年2022年9月26日(約1,623ドル)11月3日(1.74%)底の38日後にピーク

4回とも、金が本当の底を付けた前後で、実質金利も一度ピークを付けていました。金の底との差は、一番離れていた2022年でも38日でした。しかも、4回中3回(2006年、2008年、2022年)は、金の方が実質金利のピークより先に底を打っています。残る2015年も、実質金利がピークを付けた翌日に金が底を付けました。

さらに2006年は、約1年後の2007年6月に実質金利が2.83%まで上がり、金が底を付けた日の2.5%を上回りましたが、金は底を割りませんでした。実質金利が上がっているから金は絶対に上がらない、というわけではありません。

※表の「実質金利のピーク」は、いずれも金の底の前後75日間で、実質金利が最も高かった日です。

※2008年は、金融危機で物価連動国債の流動性プレミアムが拡大した時期です。

2022年の例

2022年は、金が9月26日に終値で約1,623ドルの底を付けた後、10月20日(約1,628ドル)と11月3日(約1,630ドル)にも、ほぼ同じ水準まで下げました。そして11月3日に、実質金利は1.74%でピークを付けています。金が底を付けてから38日後のことです。

その後、12月2日には実質金利が1.08%まで下がり、その日の金は約1,798ドルと、底から約11%上の水準まで戻っています。

この検証の核心

18%反発しても底ではなかった2013年

一方で、過去には、18%も反発したのに、そこが底ではなかった場面もあります。それが2013年です。当時の金は、2011年の最高値から下落が続いていました。

表は横にスクロールできます

日付金(終値)実質金利出来事
2013年6月27日約1,201ドル0.50%安値。最高値から約37%下落
2013年8月28日約1,417ドル0.63%安値から18.1%反発
2013年9月5日約1,368ドル0.92%実質金利のピーク(安値から70日後)
2013年12月19日約1,189ドル0.79%6月の安値を下回る
2015年12月17日約1,052ドル0.77%本当の底(実質金利ピークの翌日)

金は6月27日の安値から8月28日までに18.1%反発しましたが、8月28日の実質金利は0.63%と、安値の日の0.50%より高くなっていました。そして、安値の前後75日間で実質金利が最も高かったのは、安値から70日後の9月5日(0.92%)でした。本当の底だった4回は、一番離れていた2022年でも38日でしたから、その倍近い長さです。結果として反発は続かず、12月19日には6月の安値を下回りました。

この下落局面の本当の底は、2015年12月17日の約1,052ドルでした。この時は、実質金利がピークを付けた翌日に金が底を付けています。

追加検証 1

今回はどちらに近いか

局面金の安値から実質金利のピークまで
2006年(本当の底)14日後
2008年(本当の底)9日後
2015年(本当の底)1日前
2022年(本当の底)38日後
2013年(途中の安値)70日後
2026年(今回)70日経過・9月24日時点でピーク未確認

終値で見ると、今回の安値は7月16日の約3,977ドルです。取引時間中の最安値は6月30日ですが、終値で一番安かったのは7月16日でした。7月16日に2.35%だった実質金利は、70日後の9月24日には2.85%まで上がり、今年の最高値を更新しています。6月30日の安値を起点にすると、86日たってもピークを付けていないことになります。

前後75日間の最高値という同じ見方をすると、9月24日の2.85%は7月16日以降で最も高い値ですが、その後の動きを見るまでは、これがピークだったかどうかは判断できません。

本当の底だった4回では、金の底と実質金利のピークの差は、最大でも38日でした。2013年は、実質金利のピークまで70日かかりました。そして今回は、70日たっても、実質金利はまだピークを付けていません。

追加検証 2

堀江が確認する2つの条件

反発が本物かどうかを判断するために、堀江は次の2つを確認します。

条件1:実質金利のピークアウト

9月24日に2.85%と今年の最高値を更新しており、ピークはまだ付いていません。

条件2:レジスタンスラインの明確な突破

水準(週足)意味
8月24日の週の高値 4,697.105ドルこれを超える上昇で、上昇トレンドの継続を確認
4月13日の週の高値 4,891.540ドル下落トレンドが終了する水準

8月17日の週の上抜けは、4月13日の週の高値を超えられずに押し戻されたため、明確な突破ではありません。また、4,697ドルから4,891ドルの間では、「上昇トレンドの継続」と「下落トレンドの終了前」が同時に成り立つため、どの期間のトレンドを見ているかに注意が必要です。

※価格の水準は、使うチャートのデータによって数ドル程度異なる場合があります。

まとめ

金は最高値から約3割下落し、安値からは反発しています。過去20年を見ると、金は実質金利がピークを付ける前に底を打つこともありました。実質金利が上がっているから金は絶対に上がらない、という考え方は間違いです。

ただし今回は、実質金利が2.85%まで上昇し、週足でも下降トレンドラインをまだ明確には突破していません。現時点では、底打ちの可能性はありますが、本格的な上昇はまだ確認できません。確認すべきなのは、実質金利のピークアウトと、下降トレンドラインの明確な突破の2つです。

この検証の限界

この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。

  • 比較した「本当の底」は4回、例外の2013年は1回で、事例の数は多くありません。
  • 本当の底では、金の底と実質金利のピークの差が最大38日でしたが、差が小さければ必ず底になるということまでは、今回の検証では確かめていません。また、ある安値が「本当の底」だったかどうかは、その後の値動きを見て初めて分かります。
  • 「実質金利のピーク」は、金の底の前後75日間の最高値として確認しています。期間の取り方を変えると、ピークの日付が変わる場合があります。たとえば前後60日間にすると、2013年のピークは8月22日の0.79%(安値から56日後)になります。
  • 日数はカレンダー上の日数です。
  • 2008年は、金融危機で物価連動国債の流動性プレミアムが拡大した時期で、実質金利の動きに特殊な要因が含まれます。
  • ワールド・ゴールド・カウンシルの過去8回の集計は、この記事の計算と価格データや集計方法が同じとは限りません。
  • 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。

新しい統計検証の公開を受け取る

この記事の内容をまとめた保存版PDFは、無料会員登録でダウンロードできます。

無料会員登録(無料)

この会員登録は、堀江投資塾の会員登録となります。登録すると、堀江投資塾からのさまざまなメールサービスや、無料動画の視聴サービスが受けられます。

最終更新:2026/10/10 | データの時点:金価格は2026年9月25日、実質金利は2026年9月24日まで