統計検証PDFライブラリ 無料会員登録
反発した金価格が、上げ幅の4分の3を失って元の安値に近づくチャートのイメージ

業種・資産・決算

金が反発の4分の3を失った後、元の安値を割った?1975年以降の30回と米国の金利で検証

  • 検証期間1975年〜2026年10月16日(結果が出ている30回)
  • 対象金の日足、米10年債利回り・実質金利
  • 公開日2026/10/19

一言結論

4分の3を失った後、元の安値を先に割ったのは30回中22回で、偶然に上下する場合とほぼ同じだった。差が出たのは、米国の10年債利回りが上がっていたかどうかだった。

金は、2026年6月30日の安値3,942.10ドルから8月25日の高値4,697.105ドルまで、約19%反発しました。ところが9月28日、終値でこの反発幅の4分の3を失いました。反発で上げた分のほとんどを失ったとき、金はその後、反発が始まる前の安値を割ったのでしょうか。1975年以降の金の日足で、同じ形になった場面をすべて調べました。

この記事の結論

  1. 30回中22回が元の安値を先に割った(偶然でも約4分の3)1975年以降、金が15%以上反発した後に反発幅の4分の3を失った場面は、結果が出ているもので30回ありました。そのうち22回は元の安値を先に割り込み、8回は割らずに反発の高値を超えました。ただし、値動きがまったく偶然に上下するとしても、近い方の元の安値に先に届く割合は約4分の3あり、22回(73%)はほぼその水準です。
  2. 10年債利回りが高かった15回では14回差が出たのは、米国の10年債利回りでした。4分の3を失った日の利回りが約3か月前より高かった15回では、14回が元の安値を割り込みました。高くなかった15回では8回です。
  3. 割った22回の下げ幅は中央値5.8%、止まった8回も高値超えまで約250日元の安値を割った22回では、次に10%以上反発するまでの下げ幅は中央値で5.8%でした。割らずに止まった8回でも、反発の高値を超えるまでには中央値で約250日かかっていました。
  4. 今回は名目・実質とも金利が高い側今回は、名目の10年債利回りも実質金利も、約3か月前より高い側に入ります。ただし、これは過去の回数で、今回の結果の確率を示すものではありません。
検証条件・計算方法を見る

検証の方法

項目内容
データ金:TradingViewのOANDA:XAUUSDの日足(高値・安値がそろう1975年以降。1997〜1998年は欠けている日がある)。金利:FREDの米10年債利回り(DGS10)と10年物の物価連動国債の利回り(実質金利、DFII10、2003年以降)
波の区切り取引時間中の高値・安値で、10%以上の反転があった所を山と谷とした
対象の形谷(元の安値)から15%以上反発した後、反発の高値を超えないまま、終値で反発幅の4分の3以上を失った場面。その日にまだ元の安値を割っていないものに限った
結果の判定その後、取引時間中に元の安値を先に下回ったか、反発の高値を先に上回ったか
金利の比較4分の3を失った日の利回りと、約3か月前(63営業日前)の利回りを比べた

※4分の3を失った当日にすでに元の安値を割っていた1回(1980年3月27日)は、今回と状態が違うため除きました(含めると31回中23回が安値割れ)。結果が出ていない2回(2026年6月9日と9月28日に条件を満たしたもの)も含みません。

基本結果

結果:30回中22回が元の安値を割った

4分の3を失った後に先に起きたこと回数
元の安値を割り込んだ30回中22回
元の安値を割らずに、反発の高値を超えた30回中8回

30回中22回で、金は元の安値を割り込んでいました。ただし、反発幅の4分の3を失った時点では、元の安値までの距離は、反発の高値までの距離の3分の1しかありません。値動きが上がるか下がるかまったく偶然に決まるとしても、近い方に先に届く割合は約4分の3(この30回の形では平均73%)になります。30回中22回(73%)は、ほぼこの水準です。つまり、22回という数字だけでは、金が特に弱かったとは言えません。大事なのは、同じ位置まで下げたのに、割った22回と止まった8回で何が違ったかです。

条件を変えた場合

条件元の安値を割り込んだ回数
反発幅の4分の3を失った時点(この記事の基準)30回中22回
反発幅の半分を失った時点で数えた場合44回中23回
高値・安値を使わず、終値だけで同じ検証をした場合23回中17回

反発幅の半分を失った時点では、元の安値と反発の高値までの距離が同じなので、偶然でも割る割合は半分になります。実際も44回中23回と、ほぼ半分でした。終値だけで数えた23回中17回(74%)も、4分の3の水準に近い結果です。どの基準でも、回数の多さはおおむね「どちらに近いか」で説明できます。

この検証の核心

差が出たのは、米国の金利だった

表は横にスクロールできます

4分の3を失った日の米10年債利回り回数そのうち元の安値を割り込んだ回数
約3か月前より高かった15回14回
約3か月前より高くなかった15回8回

4分の3を失った日の米国の10年債利回りが、約3か月前より高かった15回では、14回で金が元の安値を割り込みました。反対に、元の安値で止まった8回のうち7回は、利回りが3か月前より高くなかった場面です。例外は2016年12月の1回だけでした。

偶然の目安である約4分の3と比べると、利回りが高かった側(15回中14回、93%)は上回り、高くなかった側(15回中8回、53%)は下回っていました。2つのグループの差は、統計の検定でも偶然では起こりにくい大きさでした。ただし、近い時期の場面は期間が重なっており、30回はそれぞれ独立した結果ではないため、差の確かさは割り引いて見る必要があります。

比べる期間を変えても、同じ傾向だった

表は横にスクロールできます

比べた相手利回りが高かった場合高くなかった場合
約1か月前(21営業日前)14回中12回が安値割れ16回中10回が安値割れ
約3か月前(63営業日前)15回中14回15回中8回
約6か月前(126営業日前)18回中15回12回中7回
約3か月前、1980年の3回を除く12回中11回15回中8回

実質金利でも同じ傾向

金には利息が付かないため、物価の上昇分を差し引いた実質金利が上がると、金には逆風になると言われます。実質金利のデータがある2003年以降の13回では、実質金利が約3か月前より高かった6回のうち5回、高くなかった7回のうち4回で、金が元の安値を割り込みました。向きは名目の利回りと同じでしたが、回数が少なく、この程度の差は偶然でも起こりうる大きさです。

追加検証 1

30回の一覧

表は横にスクロールできます

4分の3を失った日元の安値→反発の高値(ドル)反発の大きさ結果米10年債(3か月前→当日)
1976年1月13日129.00→149.10+16%安値割れ8.30%→7.64%
1980年2月26日607.00→742.50+22%安値割れ10.51%→13.65%
1980年3月17日365.00→873.00+139%安値割れ10.51%→12.58%
1980年10月23日604.00→748.50+24%安値割れ10.24%→11.82%
1981年5月21日453.00→554.00+22%安値割れ12.90%→14.05%
1981年11月10日397.00→482.50+22%安値割れ14.65%→13.40%
1982年5月26日312.50→377.50+21%安値割れ13.91%→13.68%
1982年11月8日390.00→465.00+19%高値超え13.85%→10.55%
1983年2月28日398.00→520.00+31%安値割れ10.78%→10.27%
1988年9月21日376.50→507.40+35%安値割れ8.90%→8.93%
1990年3月26日360.50→430.30+19%安値割れ7.77%→8.51%
1990年10月16日348.20→425.00+22%安値割れ8.44%→8.79%
1993年9月13日325.80→414.00+27%高値超え5.97%→5.26%
1997年1月3日343.00→419.60+22%安値割れ6.65%→6.52%
2000年3月16日275.00→319.00+16%安値割れ6.25%→6.26%
2000年4月28日252.10→339.00+34%高値超え6.66%→6.23%
2001年7月30日254.10→298.00+17%高値超え5.35%→5.11%
2006年9月14日542.25→677.15+25%高値超え5.10%→4.79%
2008年8月5日845.40→988.58+17%安値割れ3.93%→4.04%
2011年12月14日1,533.21→1,803.02+18%安値割れ2.00%→1.92%
2012年5月9日1,522.76→1,790.79+18%高値超え2.04%→1.87%
2013年2月20日1,527.12→1,796.00+18%安値割れ1.58%→2.02%
2013年11月21日1,180.51→1,433.77+21%安値割れ2.87%→2.79%
2014年9月12日1,182.44→1,392.32+18%安値割れ2.60%→2.62%
2015年3月6日1,131.31→1,307.79+16%安値割れ2.29%→2.24%
2016年12月15日1,046.46→1,375.31+31%高値超え1.70%→2.60%
2018年8月15日1,122.75→1,366.11+22%高値超え3.09%→2.86%
2022年7月5日1,677.69→2,070.63+23%安値割れ2.39%→2.82%
2026年3月19日4,402.38→5,419.66+23%安値割れ4.15%→4.25%
2026年6月9日4,099.13→4,891.54+19%安値割れ4.21%→4.53%

※元の安値・反発の高値は取引時間中の値。1999〜2000年や2013〜2014年のように、近い時期の場面は期間が重なっているものがあります。

追加検証 2

元の安値を割った22回:その後どこまで下げたか

項目結果(22回)
元の安値から、次に10%以上反発するまでの下げ幅(中央値)5.8%
下げ幅が5%未満/5〜10%/10%超10回/5回/7回
最も大きかった下げ幅23.7%(1980年2月26日の場面)
4分の3を失ってから元の安値を割るまでの日数(中央値)35日(10回は30日以内)

※下げ幅は、元の安値を割った後、次に10%以上の反発が入るまでの最安値で測ったもので、下落相場全体の底までの下げ幅ではありません。日数は暦日です。

元の安値を割った場合も、半数近くはそこから5%未満の下げで止まり、次の反発が入っていました。一方で、22回のうち7回は10%を超えて下げています。

追加検証 3

元の安値で止まった8回:高値を超えるまでの時間

表は横にスクロールできます

4分の3を失った日下げ止まった水準(元の安値から)4分の3を失ってから底まで底から反発の高値を超えるまで
1982年11月8日+2.1%4日25日
1993年9月13日+5.3%0日872日
2000年4月28日+0.8%294日669日
2001年7月30日+4.1%1日189日
2006年9月14日+3.2%20日140日
2012年5月9日+0.3%7日138日
2016年12月15日+7.3%0日917日
2018年8月15日+3.3%1日308日

※日数は暦日。底は、4分の3を失ってから反発の高値を超えるまでの間の最安値。

元の安値で止まった8回は、すべて元の安値より0.3〜7.3%高い水準で下げ止まっていました。8回のうち7回は、4分の3を失ってから20日以内に底を付けています。ただし、そこから反発の高値を超えるまでには時間がかかり、4分の3を失ってから高値を超えるまでの日数は中央値で約250日、最も短い場面で29日、最も長い場面で963日でした。8回のうち7回は140日以上かかっています。

追加検証 4

2026年の位置

2026年はすでに、同じ形が2回ありました。3月19日に条件を満たした場面は4日後に、6月9日に条件を満たした場面は翌日に、どちらも元の安値を割り込んでいます。

項目今回(2026年9月28日に4分の3を失った)
元の安値/反発の高値3,942.10ドル(6月30日)/4,697.105ドル(8月25日)
米10年債利回り(約3か月前→9月28日)4.38%→5.24%(高い側)
実質金利(約3か月前→9月28日)2.16%→2.90%(高い側)
10月16日の終値4,172.10ドル(元の安値まで5.5%下、反発の高値まで12.6%上)

今回は、名目の10年債利回りも実質金利も、約3か月前より高い側に入ります。実質金利は10月5日に2.95%と2008年11月以来の水準まで上がり、10年債利回りもその日に5.31%と2002年5月以来の水準を付けました。過去に同じ側に入った15回では、14回で金が元の安値を割り込んでいます。

一方、4分の3を失った9月28日以降の最安値は10月7日の4,066.535ドルで、10月16日の時点では、元の安値を割り込んでいません。

その後(結果が出たら追記)

今回の金が、元の安値3,942.10ドルを先に割るか、反発の高値4,697.105ドルを先に超えるか。結果が出たら、ここへ追記します。

まとめ

1975年以降、金が反発幅の4分の3を失った30回では、22回が元の安値を先に割り込みました。これは、元の安値の方が近いことからくる偶然の目安(約4分の3)とほぼ同じ水準です。差が出たのは米国の金利で、10年債利回りが約3か月前より高かった15回では14回が安値割れでした。元の安値を割った場合の次の反発までの下げ幅は中央値5.8%で、止まった場合でも反発の高値を超えるまでには中央値で約250日かかっていました。

この検証の限界

この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。

  • 結果が出ている場面は30回、実質金利で比べられるのは13回しかありません。
  • 波の区切り(10%の反転)や反発の大きさ(15%以上)は、検証のために決めた条件です。条件を変えると回数は変わります。
  • 近い時期の場面は期間が重なっているため、30回はそれぞれ独立した結果ではありません。
  • 金利との関係は、同時に起きていたことを数えたもので、金利が原因だと証明したものではありません。
  • 1997〜1998年の金のデータには欠けている日があります。
  • 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。

この記事のタグ

堀江投資塾会員限定

統計検証PDFライブラリ

この記事の検証結果をまとめた保存版PDFをご用意しています。無料会員の方は、過去の統計検証レポートもまとめて閲覧・ダウンロードできます。

PDFライブラリを見る

まだ無料会員でない方はこちら

無料会員登録(無料)

この会員登録は、堀江投資塾の会員登録となります。登録すると、堀江投資塾からのさまざまなメールサービスや、無料動画の視聴サービスが受けられます。

公開日:2026/10/19 | データの時点:金はTradingViewのOANDA:XAUUSDの日足(1975年〜2026年10月16日)、米10年債利回り(DGS10)と実質金利(DFII10)はFRED