エヌビディアは好決算でも株価が下がる?会社予想に対する上振れ率と、決算翌日の値動きを検証
- 直近4回の決算翌日4回とも下落平均−2.79%
- 会社予想に対する上振れ率(直近4四半期平均)+4.72%最大は+22.79%
- 決算前7営業日と翌日の関係R²=0.223直近8回。関係は弱い
- 2026年8月の決算翌日+8.74%売上高962億ドル
一言結論
エヌビディアは会社予想を毎回上回ってきたが上振れ幅は縮み、決算翌日は下がることが多かった。比較する期間をそろえないと、結論の向きが逆になる点にも注意が必要。
エヌビディアは、売上高で15四半期連続、アナリストの予想を上回ってきました。それなのに、2026年8月の決算を迎える前の直近4回は、決算の翌日にすべて株価が下がっています。予想は超えるのに、株価は下がる。この決算で何を見ればよいのかを、公式の決算リリースと株価のデータで検証しました。
この記事の結論
- 直近4回の決算翌日は4回とも下落直近4回の決算翌日は4回とも下落し、平均は−2.79%でした。直近8回まで広げても、翌日に上昇したのは8回中2回だけです。
- 上振れ率は12四半期すべてプラスだが縮小会社自身の売上高予想(ガイダンス)に対する実績の上振れ率は、12四半期すべてでプラスでした。ただし上振れ率は、最大の+22.79%から、直近4四半期の平均+4.72%まで縮んでいます。
- 事前に売られた回ほど翌日は強い方向(関係は弱い)決算前7営業日の値動きと翌日の値動きを比べると、直近8回では「事前に売られていた回ほど翌日は強い」方向が出ました。ただし関係は弱く(R²=0.223)、サンプルは8回だけです。
- 期間をそろえないと結論が逆になる比較する期間をそろえないと、この関係の向きは逆になりました。同じデータでも、条件をそろえなければ結論を間違えます。
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2026年8月の決算前の下落(−7.47%)は、決算発表日の2営業日前にあたる8月24日の終値までの数字でした。そこで過去8回についても、終点をすべて「決算発表日の2営業日前の終値」にそろえています。
※事前7営業日は、決算発表日の2営業日前の終値を終点とした騰落率です。2024年6月の株式分割後の期間のみを対象にしています。
予想を上回っても、決算翌日は下がることが多かった
| 決算(直近4回) | 決算翌営業日の株価 |
|---|---|
| 2026年度第2四半期 | −0.79% |
| 2026年度第3四半期 | −3.15% |
| 2026年度第4四半期 | −5.46% |
| 2027年度第1四半期 | −1.77% |
4回とも下落し、平均は−2.79%でした。範囲を直近8回まで広げても、翌日がプラスだったのは8回中2回だけです。15四半期連続で予想を上回っている会社の株が、決算の翌日は4回に3回下げていました。単に予想を上回るだけでは、市場を驚かせにくくなっていたということです。
※「15四半期連続」は売上高をアナリスト予想と比べた回数です。以下の「12四半期」は、同じ売上高を会社自身の予想と比べたデータで、比べる相手が違います。
会社予想に対する上振れ率(12四半期)
2024年度第2四半期から2027年度第1四半期までの12四半期について、会社が事前に示した売上高予想の中央値と、実際の売上高を、公式の決算リリースから1つずつ拾って上振れ率を計算しました。
表は横にスクロールできます
| 四半期 | 会社予想の中央値 | 実績の売上高 | 上振れ額 | 上振れ率 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年度第2四半期 | 11,000 | 13,507 | 2,507 | +22.79%(最大) |
| 2024年度第3四半期 | 16,000 | 18,120 | 2,120 | +13.25% |
| 2024年度第4四半期 | 20,000 | 22,103 | 2,103 | +10.51% |
| 2025年度第1四半期 | 24,000 | 26,044 | 2,044 | +8.52% |
| 2025年度第2四半期 | 28,000 | 30,040 | 2,040 | +7.29% |
| 2025年度第3四半期 | 32,500 | 35,082 | 2,582 | +7.94% |
| 2025年度第4四半期 | 37,500 | 39,331 | 1,831 | +4.88% |
| 2026年度第1四半期 | 43,000 | 44,062 | 1,062 | +2.47%(最小) |
| 2026年度第2四半期 | 45,000 | 46,743 | 1,743 | +3.87% |
| 2026年度第3四半期 | 54,000 | 57,006 | 3,006 | +5.57% |
| 2026年度第4四半期 | 65,000 | 68,127 | 3,127 | +4.81% |
| 2027年度第1四半期 | 78,000 | 81,615 | 3,615 | +4.63% |
※単位:百万ドル。会社予想の中央値は各前四半期の決算リリースの見通し(Outlook)、実績は各四半期の決算リリースの売上高です。
| 12四半期の上振れ率 | 値 |
|---|---|
| 平均 | +8.05% |
| 中央値 | +6.43% |
| 最小 | +2.47% |
| 直近4四半期の平均 | +4.72% |
2026年8月の決算で、会社の売上高予想は910億ドル(±2%)でした。直近4四半期の平均上振れ率(+4.72%)を当てはめると約953億ドル、12四半期で最小の上振れ(+2.47%)でも約932億ドルになります。当時ニュースが焦点としていたアナリスト予想の約920億ドル(調査会社により918億〜924億ドル)は、会社予想のレンジの上限(約928億ドル)の内側にあり、判定の物差しとしては低い数字でした。
※約953億ドルは、市場のコンセンサスではなく、直近4四半期と同じくらい上振れた場合の目安です。12四半期全体の平均(+8.05%)から出した数字ではありません。
決算前に売られていた方が、翌日は強いのか
「決算前に大きく売られていれば、悪材料は織り込まれていて、決算後は反発しやすい」という見方があります。直近8回の決算で、決算前7営業日の値動きと、決算翌営業日の値動きを比べました。
比較する期間をそろえる
2026年8月の決算前の下落(−7.47%)は、決算発表日の2営業日前にあたる8月24日の終値までの数字でした。そこで過去8回についても、終点をすべて「決算発表日の2営業日前の終値」にそろえています。
表は横にスクロールできます
| 決算 | 発表日 | 事前7営業日 | 最長連続下落 | 翌営業日 |
|---|---|---|---|---|
| 2027年度第1四半期 | 2026年5月20日 | +5.12% | 2日 | −1.77% |
| 2025年度第2四半期 | 2024年8月28日 | +2.93% | 1日 | −6.38% |
| 2026年度第4四半期 | 2026年2月25日 | +0.79% | 2日 | −5.46% |
| 2025年度第4四半期 | 2025年2月26日 | −0.66% | 2日 | −8.48% |
| 2026年度第3四半期 | 2025年11月19日 | −0.79% | 1日 | −3.15% |
| 2026年度第2四半期 | 2025年8月27日 | −1.21% | 3日 | −0.79% |
| 2026年度第1四半期 | 2025年5月28日 | −2.99% | 2日 | +3.25% |
| 2025年度第3四半期 | 2024年11月20日 | −5.86% | 2日 | +0.53% |
※事前7営業日は、決算発表日の2営業日前の終値を終点とした騰落率です。2024年6月の株式分割後の期間のみを対象にしています。
決算前に上昇していた3回は、翌日に3回とも下落しました。一方、決算前に最も売られていた2回(−2.99%と−5.86%)は、どちらも翌日に上昇しています。8回の中で翌日に上昇したのは、この2回だけです。直近8回だけを見ると、「決算前に売られていた方が、決算翌日は強い」という方向が出ています。
ただし、関係は弱い
この関係の強さを示すR²は0.223(相関係数は−0.472)で、サンプルは8回しかありません。8回では統計的に有意とは言えず、これだけで翌日の騰落を予測できるほど強い関係ではありません。「決算前に下げているから買い」という売買シグナルにできるほど、データは強くありませんでした。
条件をそろえないと、結論が逆になる
最初に、今回だけを決算2営業日前まで、過去8回を決算発表日の終値までで計算したときは、まったく逆の結果が出ました。「決算前に売られた回ほど、決算後も下がりやすい」という向きです。比べる期間をそろえると、結果の向きそのものが逆転しました。同じ8回の決算、同じ株価データでも、比較の条件をそろえなければ結論を間違えます。
2026年8月は、過去8回の外側にいた
2026年8月の決算前7営業日は−7.47%で、過去8回で最も大きかった下落(−5.86%)を上回っていました。しかも7営業日連続の下落で、過去8回では最長でも3営業日連続でした。過去8回のどのケースよりも売られた状態で、決算を迎えたことになります。
その後(2026年8月26日の決算)
売上高は962億ドルで、会社予想910億ドルに対する上振れは約5.7%でした。直近4四半期の平均から出した目安の約953億ドルを上回っています。決算翌日の8月27日、株価は+8.74%(209.66ドル→227.98ドル)上昇し、決算翌日の下落は4回連続で止まりました。
決算前に過去8回より大きく売られていた回で、翌日は大きく上昇したことになります。ただし、これを加えても9回で、関係が強いとは言えない点は変わりません。なお、その翌日の8月28日には4.57%下落し、217.55ドルでした。
まとめ
エヌビディアは会社予想を毎回上回ってきましたが、上振れ率は小さくなってきていました。そして、予想を上回っても決算翌日に株価が下がることが多く、単なる「予想超え」では市場を驚かせにくい局面になっていました。
決算前の値動きと翌日の値動きには、直近8回で「事前に売られていた方が翌日は強い」という方向が見られましたが、関係は弱く、サンプルも8回だけです。そして、比較する期間をそろえるかどうかで、結論の向きそのものが変わりました。決算を検証するときは、見出しの「予想超え」ではなく、会社予想に対してどれだけ上振れたかと、比較条件のそろえ方を確かめる必要があります。
この検証の限界
この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。
- 決算前後の値動きの比較は8回だけで、統計的に有意な関係ではありません(R²=0.223)。
- 1つの銘柄の結果であり、ほかの銘柄や将来の決算に当てはまるとは限りません。
- 連続で予想を上回った回数は、アナリスト予想の提供元によって1〜2回ずれることがあります。
- 株価の比較は、2024年6月の株式分割後の期間に限っています。
- 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
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最終更新:2026/10/10 | データの時点:検証は2026年8月24日まで。「その後」の囲みは8月26日の決算
