米10年債5%突破の翌日に利上げ。過去7回に同じ形はあったか?金融政策の状態で分類して検証
- 5%突破後、3か月後に上昇7回中2回ふつうの日は3回に2回
- 5%突破後3か月の騰落率(中央値)−3.6%ふつうの日は+2.6%
- 「半年横ばい→翌日利上げ」の前例0回過去7回
- 2026年9月16日のFOMC3.75〜4.00%0.25%の利上げ、12対0
一言結論
過去7回の5%突破の後は株が弱かったが、金融政策の状態で分けると、今回と同じ形の突破は1回もなかった。過去の平均をそのまま今回に当てはめることはできない。
2026年9月15日、米国の10年債利回りは5.00%に到達しました。その翌日の9月16日、FRBは0.25%の利上げを決めています。2023年7月以来、3年2か月ぶりの利上げです。
過去に10年債利回りが5%を突破した7回の後、S&P500は通常より弱い成績でした。では、今回もそうなるのでしょうか。過去の7回と今回を同じ土俵に並べてよいかを確かめるため、7回を1件ずつ、その時の金融政策の状態まで遡って調べました。
この記事の結論
- 過去7回の後は3か月後に7回中2回しか上昇せず過去7回の5%突破の後、3か月後にS&P500が上昇していたのは7回中2回で、騰落率の中央値は−3.6%でした(ふつうの日に買った場合は3回に2回、中央値+2.6%)。
- 政策の状態で分けると、1年後には差が消える7回を突破前6か月のFF実効レートの変化で分けると、上昇3回・低下3回・横ばい1回。3か月後には差が見えますが、1年後の上昇回数では差が消え、最も大きく下げた2回は正反対のグループから出ています。
- 今回と同じ形は0回「半年ほとんど動かさなかったところから、5%到達の翌日に利上げ」という今回の形は、過去7回に1回もありません。唯一、直前6か月が横ばいだった2007年6月は、突破の後に利下げへ向かいました。
- 過去の平均はそのまま使えないこのため、過去7回の平均をそのまま今回に当てはめることはできません。
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セントルイス連銀が公開している10年債利回りの日次データを使い、直前の60営業日がすべて5%未満で、その日に初めて終値で5%以上になった日を1回と数えます。同じ上昇局面を二重に数えないためのルールです。このルールで見ると、2026年9月15日は1962年以降で8回目の5%突破に当たります。
※「ふつうの日」は、1962年以降の営業日を1日ずつすべて起点にした場合です。3か月後は63営業日後、1年後は252営業日後の終値で比べています。
※FFはFF実効レートの変化(ポイント)。株価はS&P500の騰落率で、突破日の終値を起点に、3か月後は63営業日後、1年後は252営業日後。1年以内の最大下落は、突破日の終値からその後1年以内の最安値までです。1966年7月は、63営業日後の終値がその後1年以内の最安値だったため、3か月後と1年以内の最大下落が同じ値になっています。
5%突破の数え方と、これまでの結果
セントルイス連銀が公開している10年債利回りの日次データを使い、直前の60営業日がすべて5%未満で、その日に初めて終値で5%以上になった日を1回と数えます。同じ上昇局面を二重に数えないためのルールです。このルールで見ると、2026年9月15日は1962年以降で8回目の5%突破に当たります。
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| S&P500 | 5%突破の直後に買う(7回) | ふつうの日に買う |
|---|---|---|
| 3か月後に上昇 | 7回中2回(中央値−3.6%) | 3回に2回(中央値+2.6%) |
| 1年後に上昇 | 7回中4回(中央値+5.8%) | 4回に3回(中央値+10.5%) |
| 1年以内に10%以上下落 | 7回中4回 | 3回に1回 |
※「ふつうの日」は、1962年以降の営業日を1日ずつすべて起点にした場合です。3か月後は63営業日後、1年後は252営業日後の終値で比べています。
5%を突破した直後に買うと、ふつうの日に買うより成績は悪かった、というのがこれまでの結果です。
2026年9月のFOMCで確定したこと
FRBは9月16日、政策金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、3.75%から4.00%の範囲としました。採決は12対0の全会一致です。声明文は短く、インフレは引き続き高い水準にあり、今回の行動は2%目標へのより早い回帰を支えると述べ、「委員会は物価の安定を実現する」と締めくくっています。雇用が悪化するリスクへの言及はありませんでした。
同時に公表されたFOMC参加者18人の見通しでは、2026年末の適切な政策金利の分布は次の通りです。
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| 2026年末に適切とする金利水準 | 人数 | 今回の利上げ後(中間値3.875%)との差 |
|---|---|---|
| 4.375% | 4人 | +0.50ポイント |
| 4.125% | 12人 | +0.25ポイント |
| 3.875% | 2人 | 変わらず |
18人中16人が、年末には今より少なくとも0.25ポイント高い水準が適切だと見ています。これは利上げの回数ではなく、年末の金利水準についての数字です。
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| 見通し | 6月 | 9月 | 方向 |
|---|---|---|---|
| 政策金利(2026年末・中央値) | 3.8% | 4.1% | +0.3ポイント |
| 失業率 | 4.3% | 4.1% | 低い方向へ |
| PCEインフレ率 | 3.6% | 3.7% | 高い方向へ |
インフレのリスクについては、18人中17人が上振れ方向だと答えています(6月と同じ人数)。また、2027年末の政策金利の中央値も4.1%で、2026年末と同じ水準です。2027年末を4.375%と見込む参加者は8人いました。年末値で見る限り、FRBは2027年末まで金利が下がることを見込んでいません。
過去7回を金融政策の状態で分ける
1960年代のFRBには、今のように公表された政策金利の誘導目標がなく、政策運営の枠組みそのものが違います。今の枠組みを当時に当てはめると、後から都合よく解釈することになってしまいます。そこで、1960年代から今日まで共通で使える物差しとして、FF実効レート(銀行同士が短期のお金を貸し借りするときに実際に成立した金利)を使いました。突破した月のFF実効レートと、その6か月前を比べるだけです。
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| 5%突破 | 直前6か月のFF | 分類 | 直後6か月のFF | 3か月後 | 1年後 | 1年以内の最大下落 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1966年2月28日 | +0.48 | 上昇 | +0.93 | −4.3% | −4.9% | −19.8% |
| 1966年7月11日 | +0.88 | 上昇 | −0.36 | −16.3% | +5.8% | −16.3% |
| 2006年4月13日 | +1.01 | 上昇 | +0.46 | −4.1% | +14.1% | −5.1% |
| 1967年6月14日 | −1.42 | 低下 | +0.53 | +3.9% | +8.2% | −5.1% |
| 1999年2月12日 | −0.79 | 低下 | +0.31 | +8.8% | +12.8% | −0.5% |
| 2001年11月23日 | −2.12 | 低下 | −0.34 | −3.6% | −19.1% | −32.5% |
| 2007年6月7日 | +0.01 | ほぼ横ばい | −1.01 | −0.8% | −8.7% | −14.6% |
| 2026年9月15日(今回) | −0.01 | ほぼ横ばい | 翌日に0.25%の利上げ | ― | ― | ― |
※FFはFF実効レートの変化(ポイント)。株価はS&P500の騰落率で、突破日の終値を起点に、3か月後は63営業日後、1年後は252営業日後。1年以内の最大下落は、突破日の終値からその後1年以内の最安値までです。1966年7月は、63営業日後の終値がその後1年以内の最安値だったため、3か月後と1年以内の最大下落が同じ値になっています。
その後の株価:3か月後の差は、1年後には消える
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| S&P500 | 金利が上がっていた3回 | 金利が下がっていた3回 |
|---|---|---|
| 3か月後の騰落率 | −4.3%、−16.3%、−4.1%(3回とも下落) | +3.9%、+8.8%、−3.6%(3回中2回上昇) |
| 1年後に上昇していた回数 | 3回中2回 | 3回中2回 |
3か月後だけを見ると、はっきり違います。しかし期間を1年に延ばして上昇した回数で見ると、この違いは消えます。
さらに、1年以内に最も大きく下げた2回、2001年11月(−32.5%)と1966年2月(−19.8%)を見ると、2001年11月は金利が下がっていたグループ、1966年2月は上がっていたグループです。最も大きく下げた2回が、正反対のグループから出ています。金利を上げていたから大きく下げた、という話にはなっていません。
それぞれ3回しかないため、この分類から勝率を出すことはしません。この分類は、今回に似ている過去を探すために使います。
今回(2026年9月)の位置
同じ物差しで今回を測ります。FF実効レートは、公表されている直近の8月で3.63%、その6か月前の2月は3.64%でした。差は−0.01ポイントで、半年でほとんど動いていません。今回は、直前6か月が横ばいだった突破です。
※9月のFF実効レートは記事作成時点で未公表のため、8月と2月で比べています。
唯一、直前6か月が横ばいだった2007年6月
過去7回で、直前6か月が横ばいだったのは2007年6月の1回だけです。ところが、その1回は突破の後に次のようになりました。
| 2007年6月の突破から | FF実効レートの変化 |
|---|---|
| 3か月後 | −0.31ポイント |
| 6か月後 | −1.01ポイント |
| 1年後 | −3.25ポイント |
FRBはその年の9月に利下げへ転じ、そこから金融緩和へ向かいました。突破する前は今回と同じでしたが、突破した後が正反対です。今回、FRBは到達の翌日に利上げをしています。
5%到達から次の利上げまでの日数
過去に5%へ到達した後、FRBが比較的近い時期に利上げへ動いたケースで、到達から利上げまでの日数を並べます。
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| 局面 | 到達から利上げまで | 補足 |
|---|---|---|
| 1999年 | 138日 | 1998年9月29日・10月15日・11月17日と3回利下げして止めていた。1999年2月12日に到達し、次の政策変更は6月30日の利上げ |
| 2006年 | 27日 | 4月13日に到達し、5月10日に0.25%の利上げ(政策金利5.00%)。ただし、直前6か月でFF実効レートが1.01ポイント上がっている、利上げを続けている途中での到達 |
| 2026年(今回) | 1日 | 9月15日に到達し、9月16日に利上げ |
2001年11月と2007年6月は、到達の後に近い時期の利上げがなく、どちらもその後は利下げの方向へ向かっています。1966年の2回と1967年6月は、公表された政策金利の目標がないため、日数では並べられません。1967年6月は、FF実効レートで見ると到達から3か月後の時点でまだ0.01ポイントしか上がっておらず、引き締めが戻ってきたのは4か月から6か月後でした。
過去7回は4つの形。今回はどれにも当てはまらない
ここでは、直前6か月の変化に、到達した後の政策の動きを加えて分けます。そのため、直前6か月が「低下」だった3回は、下げ終えて動かずにいたところで到達した2回と、下げている最中に到達した1回に分かれます。
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| 5%到達時の形 | 回数 | 該当 | その後の政策 |
|---|---|---|---|
| 上げている最中に到達 | 3回 | 1966年2月・1966年7月・2006年4月 | 2回は引き締めが継続(1966年7月は6か月後にFF実効レートが0.36ポイント低下) |
| 下げたあと、まだ動かずに到達 | 2回 | 1967年6月・1999年2月 | 引き締めは数か月後に再開 |
| 下げている最中に到達 | 1回 | 2001年11月 | 利下げが継続 |
| 半年横ばいのあと到達 | 1回 | 2007年6月 | 約3か月後の9月に利下げへ転換 |
| 半年横ばい → 到達の翌日に利上げ | 0回 | 今回(2026年9月)のみ | 16人が年末に今より高い水準を適切と見ている |
半年ほとんど動かさなかったところから、10年債が5%に到達し、その翌日に利上げへ動いた。この形は、過去7回に1回もありません。したがって、「3か月後に上昇したのは7回中2回」という数字を、そのまま今回に当てはめることはできません。
過去の平均に頼れないときに確認する条件
堀江は、過去に一致する事例がないときに頼れるのは、歴史の平均ではなく目の前の条件だと考えています。その1つが、金利が上がる速度です。
表は横にスクロールできます
| 測定 | 値 | 判定 |
|---|---|---|
| 9月15日の10年債利回り | 5.00% | ― |
| 63営業日前(6月15日) | 4.47% | ― |
| 63営業日の上昇幅 | +0.53% | 1%に未達 |
| 期間中の最安値(6月26日)からの上昇幅 | +0.62% | 1%に未達 |
これまでの検証では、3か月で1%程度の金利上昇では株はほとんど崩れず、1.5%まで加速すると成績がはっきり悪化しました。5%の突破という水準の条件は満たしましたが、速度の条件はまだ満たしていません。
まとめ
2026年9月15日、10年債利回りは5.00%に到達し、1962年以降で8回目の5%突破となりました。過去7回の後、S&P500はふつうの日より弱い成績でした。
ただし、7回を金融政策の状態まで遡って調べると、今回と同じ形の突破は1回もありませんでした。直前6か月が横ばいだった2007年6月は、突破から約3か月後の9月に利下げへ転じ、金利を下げたあとに引き締めへ戻った1967年と1999年は、戻るまでに数か月かかっています。突破のすぐ後に利上げがあった2006年は、もともと利上げを続けている最中でした。半年動かさずにいて、5%到達の翌日に利上げした例は、7回に1回もありません。
過去の平均をそのまま当てはめられない以上、確認すべきなのは、金利上昇の速度が63営業日で1%に達するかどうかといった、目の前の条件です。
この検証の限界
この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。
- 比較できる5%突破は7回だけで、1966年2月・1966年7月・1967年6月の3回は約1年4か月の間に集中しています。
- 金利が上がっていたグループと下がっていたグループは3回ずつしかないため、勝率は出していません。
- 1960年代は政策運営の枠組みが今と違うため、FF実効レートの直前6か月の変化という共通の物差しだけで分類しています。
- 「今回と同じ形が過去にない」というのは、今回の条件(半年横ばい、到達の翌日に利上げ)で過去7回を分類した結果です。
- 今回のFF実効レートの変化は、9月分が未公表のため8月と2月で比べています。
- 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
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最終更新:2026/10/10 | データの時点:10年債利回りは2026年9月15日、FF実効レートは2026年8月まで、FOMCは2026年9月16日
