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CAPEの水準が高くなるほど、その後10年のリターンの棒が低くなっていくグラフのイメージ

割高・割安と天井

CAPE(シラーPER)が高い時に米国株を買うと、その後10年はどうなった?1871年以降のデータで検証

  • 検証期間1871年2月〜2016年7月に買った1,746か月(10年後の結果まで)
  • 対象S&P500(配当込み・物価調整後)、CAPE
  • 公開日2026/10/06

一言結論

CAPEが高い時に買うほど、その後10年のリターンは低い傾向がはっきりあった。ただし30倍以上の事例は、実質2つの相場局面だけ。

著名投資家のハワード・マークス氏は、2025年1月のメモ「On Bubble Watch」で、J.P.モルガンのデータを引用し、予想PERが当時(2025年1月)と同じ22倍前後の時にS&P500を買った人の、その後10年の年率リターンは、1988〜2014年の観測ではすべてプラス2%からマイナス2%の間だったと指摘しました。

では、もっと長い期間で見るとどうなのか。1871年以降の月次データを使い、買った時点のCAPE(シラーPER)の水準別に、その後10年のリターンを検証しました。

この記事の結論

  1. 低いCAPEで買うほど10年リターンは高いCAPEが低い時に買うほど、その後10年のリターンは高く、高い時に買うほど低い傾向がはっきりありました。CAPE10倍未満で買った238か月は、10年の実質リターンが平均で年+11.4%、一度もマイナスになっていません。
  2. 30倍以上は平均−1.0%CAPE30倍以上で買った57か月は、平均で年−1.0%。57か月中34か月がマイナスでした。
  3. 40倍超の21か月はすべてマイナス(1つの局面)CAPE40倍超で買った21か月は、21か月すべてがマイナスで、平均は年−3.7%でした。ただし、この21か月はすべて1999〜2000年のITバブル期の1つの局面です。
  4. 今のCAPEは41倍台2026年10月初めのCAPEは41.38倍で、この40倍超の水準にあります。
検証条件・計算方法を見る
項目内容
データmultplが公表している月次のS&P500(前身の指数を含む)の株価・配当利回り・消費者物価指数・CAPE(シラー教授のデータに基づく)
リターン配当を再投資し、物価上昇分を差し引いた実質のリターン。買った月から10年(120か月)後までの年率
対象10年後の結果がそろう、1871年2月〜2016年7月に買った1,746か月
分け方買った月のCAPEの水準で分類

※株価はその月の平均値です。税金と手数料は考慮していません。

CAPE(シラーPER)とは

CAPEは、ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が考案した指標で、株価を、物価で調整した過去10年間の平均利益で割って計算します。1年の利益で割るふつうのPERと違い、景気の波による利益の上下をならして、長い目で見た割高さを測ります。CAPEの過去の中央値は16倍前後です。

マークス氏が使った予想PER(来年の予想利益で割るPER)は1980年代以降のデータしかありません。CAPEなら、1929年の大恐慌を含む19世紀からのデータで検証できます。

基本結果

CAPEの水準別、その後10年の実質リターン(年率)

表は横にスクロールできます

買った時のCAPE月数平均中央値最低〜最高マイナスだった月
10倍未満238+11.4%+11.1%+1.8%〜+19.9%0
10〜15倍560+8.1%+9.3%−4.2%〜+17.5%45
15〜20倍525+6.1%+6.3%−4.6%〜+16.1%46
20〜25倍260+4.6%+4.9%−4.0%〜+14.2%63
25〜30倍106+5.7%+5.5%−1.1%〜+11.8%5
30倍以上57−1.0%−1.1%−5.9%〜+4.5%34

CAPEが低い時に買うほど、その後10年のリターンは高い傾向がありました。CAPE10倍未満で買った238か月は、一度もマイナスになっていません。一方、30倍以上で買った57か月は、平均でマイナスでした。ただし、すべての区分が順番どおりに並ぶわけではなく、たとえば25〜30倍(平均+5.7%)は20〜25倍(+4.6%)を上回っています。また、同じ区分の中でも結果の幅は大きく、10〜15倍でも45か月はマイナスでした。

30倍以上を細かく分けると

表は横にスクロールできます

買った時のCAPE月数平均最低〜最高マイナスだった月
30〜32倍7+0.7%−1.8%〜+4.5%2
32〜35倍16+1.5%−1.8%〜+4.0%3
35〜40倍13−0.8%−3.8%〜+1.1%8
40倍超21−3.7%−5.9%〜−2.6%21

CAPE40倍超で買った21か月は、すべてがマイナスでした。最も良かった月でも年−2.6%、最も悪かった月は年−5.9%です。年−2.6%が10年続くと、100万円は実質で約77万円、年−5.9%なら約54万円になります。

具体例

表は横にスクロールできます

買った月CAPEその後10年の実質リターン(年率)当時
1982年8月6.64倍+14.3%インフレと不況の時代の終盤
2009年3月13.32倍+14.3%リーマンショックの底
1929年9月32.56倍−1.4%大恐慌の直前
1999年12月44.19倍(過去最高)−3.2%ITバブルの絶頂
この検証の核心

この結果を読むときの注意

  • CAPE30倍以上の57か月は、1929年(2か月)と1997〜2002年(55か月)の、実質2つの相場局面だけです。2017年以降の30倍以上の月は、まだ10年後の結果が出ていません。
  • CAPE40倍超の21か月は、すべて1999〜2000年の1つの局面の中の連続する月です。「21か月すべてマイナス」は、21回の独立した結果ではなく、ITバブル崩壊という1つの出来事の記録です。
  • 毎月ずらした10年の期間は大きく重なっており、月数は独立した回数ではありません。
  • マークス氏が引用したのは名目のリターン、この記事は物価を差し引いた実質のリターンです。物差しが違うため、数字をそのまま比べることはできません。
追加検証

2026年10月の位置

multplによる2026年10月初めのCAPEは41.38倍で、過去最高の44.19倍(1999年12月)に近い水準です。過去に40倍を超えた月は1999〜2000年の21か月だけで、そのすべてで、その後10年の実質リターンはマイナスでした。

ただし、CAPEは長期のリターンの低さを示す指標で、いつ下がるかを示す指標ではありません。ITバブル期でも、CAPEが30倍を超えた1997年6月から、崩壊が始まるまでには約3年かかっています。また、同じ割高な水準でも、その後の利益の伸び方によって結果は変わり得ます。

まとめ

1871年以降のデータでは、CAPEが低い時に買うほどその後10年のリターンは高く、高い時に買うほど低い傾向がはっきりありました。CAPE30倍以上で買った月は平均で年−1.0%、40倍超の21か月はすべてマイナスでした。ただし、30倍以上の事例は実質2つの局面しかなく、過去の傾向がそのまま繰り返されるとは限りません。今のCAPEは41倍台と、過去にほとんど例のない水準にあります。

この検証の限界

この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。

  • CAPEが高い水準の事例は、ごく限られた相場局面に集中しています。
  • 10年の期間が重なっているため、月数は独立した回数ではありません。
  • 月平均の株価で計算しているため、月末の株価で計算した場合と少し違う結果になります。データの改定によっても数字は少し変わります。
  • 税金と手数料は考慮していません。
  • 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。

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公開日:2026/10/06 | データの時点:multplの月次データ。10年後の結果がそろう2016年7月までに買った月で集計。現在のCAPEは2026年10月初めの値