
CAPE(シラーPER)が38倍を超えた後、株価はどうなった?過去27の観測月で検証
- CAPE38倍以上だった月(2025年9月より前)27回1998〜2000年に25回、2021年に2回
- 4年以内に20%以上下落27回中27回ふつうの月は約29%
- 到達までの月数(中央値)15か月平均18.2か月
- 今の局面(2025年9月〜)の最大下落−5.6%2026年9月21日まで
一言結論
CAPE38倍以上の27回は、すべて4年以内に20%以上下落した。ただし実質2つの相場局面の記録で、確率とは呼べない。
米国株の割高さを測る代表的な指標に、CAPE(シラーPER)があります。そのCAPEが、2025年9月に月次で38倍を超え、2026年10月には41倍台まで上がっています。過去にCAPEが38倍以上だった月は何回あり、その後S&P500はどうなったのでしょうか。月次のデータで検証しました。
この記事の結論
- 38倍以上の27回はすべて4年以内に20%以上下落2025年9月より前に、月次のCAPEが38倍以上だった月は27回ありました。27回すべてで、その月の終値から4年以内に、S&P500が月中の安値で20%以上下落していました。到達までの月数は、中央値15か月、平均18.2か月、最短5か月、最長48か月です。
- 35倍以上では47回中40回35倍以上まで広げると、2022年までの47回のうち40回で、5年以内に20%以上下落していました。
- 実質2つの局面で、確率とは読めないただし27回は、1998〜2000年のITバブル期(25回)と2021年(2回)の、実質2つの相場局面に属しています。独立した27回の試行ではないため、この割合を「確率」として読むことはできません。
- 今の局面は13か月で20%の下落なし2025年9月からの今の局面では、2026年9月21日までの約13か月で、20%以上の下落は起きていません(最大の下落は−5.6%)。
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検証条件・計算方法を見る
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CAPE | multplが公表している月次の値(シラー教授のデータに基づき、その月の平均株価で計算) |
| 観測月 | 月次のCAPEが基準(38倍、35倍)以上だった月。続けて基準を超えていた月も、1か月ずつ別の観測として数える |
| 20%以上の下落 | 観測月のS&P500の月末の終値から、その後のいずれかの月の月中の安値が20%以上低くなったこと |
| データ | S&P500の月末の終値と月中の安値(配当を含まない) |
CAPE(シラーPER)とは
CAPEは、ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が考案した指標で、株価を、物価で調整した過去10年間の平均利益で割って計算します。ふつうのPERは過去1年の利益で割るため、景気の波に大きく振り回されます。
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| 時期 | ふつうのPER | CAPE | 当時の状況 |
|---|---|---|---|
| 2009年5月 | 123.7倍 | 16.0倍 | リーマンショック後で利益が急減。ふつうのPERは異常に高く見えた |
| 1999年12月 | 29.7倍 | 44.2倍(過去最高) | ITバブルの絶頂。利益が膨らみ、ふつうのPERは許容範囲に見えた |
※S&P500の月次の値(multpl)。CAPEの過去の中央値はおよそ16倍です。
不景気で利益が一時的に落ち込むと、ふつうのPERは割高に見え、好景気で利益が膨らむと割安に見えます。10年平均で割るCAPEは、こうした景気の波をならして、長い目で見た割高さを測ります。CAPEが極めて低かった1982年8月は6.64倍、2009年3月は13.32倍でした。
38倍以上だった27の月:すべて4年以内に20%以上下落
2025年9月より前に、月次のCAPEが38倍以上だった月は27回です。1998年7月、1998年12月、1999年1月〜2000年11月の25回と、2021年11月・12月の2回です。
| 観測月の終値から | 20%以上の下落に到達していた回数 |
|---|---|
| 6か月以内 | 27回中3回 |
| 1年以内 | 27回中11回 |
| 1年半以内 | 27回中16回 |
| 2年以内 | 27回中18回 |
| 2年半以内 | 27回中23回 |
| 3年以内 | 27回中26回 |
| 4年以内 | 27回中27回 |
ふつうの月と比べると
CAPEに関係なく、1950年以降のすべての月を起点にした場合と比べました。
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| 観測月の終値から | CAPE 38倍以上の月 | ふつうの月(1950年以降) |
|---|---|---|
| 1年以内に20%以上の下落 | 27回中11回 | 909回中122回(約13%) |
| 2年以内 | 27回中18回 | 897回中177回(約20%) |
| 4年以内 | 27回中27回 | 873回中251回(約29%) |
※ふつうの月は、その後の期間のデータがそろっている月だけで数えています。
ふつうの月でも、4年以内に20%以上の下落を経験したのは3回に1回ほどありました。CAPEが38倍以上だった月は、それよりはっきり多く下落を経験していました。
到達までの月数は、中央値15か月、平均18.2か月でした。最も早かったのは5か月(2000年10月、2021年12月の観測)、最も遅かったのは1998年7月の観測で、48か月後の2002年7月でした。ITバブル期の25回は2001〜2002年のITバブル崩壊で、2021年の2回は2022年の利上げ局面の下落で、それぞれ20%以上の下落に到達しています。
2021年11月の例
2021年11月の月次のCAPEは38.58倍、S&P500の月末の終値は4,567でした。この水準で買った場合、7か月後の2022年6月に、月中の安値で20%以上の下落に到達しています。
35倍以上まで広げると:47回中40回
基準を35倍以上に下げると、2022年までの観測月は47回でした(1998年3月〜2001年2月の34回、2021年2月〜2022年2月の13回)。
| 観測月の終値から | 20%以上の下落に到達していた回数 |
|---|---|
| 1年以内 | 47回中17回 |
| 2年以内 | 47回中26回 |
| 3年以内 | 47回中34回 |
| 5年以内 | 47回中40回 |
| 10年以内 | 47回中40回 |
到達しなかった7回のうち1回は1998年8月の観測で、ITバブル崩壊の底(2002年10月)で−19.7%と、20%にわずかに届きませんでした(その後、2008年のリーマンショックで到達)。残る6回は2021年の観測で、2022年の下落でも20%には届きませんでした。CAPEが35〜37倍台だった2021年の月の中には、20%の下落を経験しなかった月もありました。
この結果を読むときの注意
- 27回は、ITバブル期(25回)と2021年(2回)の、実質2つの相場局面です。同じ局面の連続する月を1回ずつ数えているので、独立した27回の試行ではありません。「27回中27回」を「100%の確率」と読むことはできません。
- 過去にすべてで起きたことが、次も必ず起きるとは限りません。
- CAPEは、長期のリターンの低さを示す指標で、下落の時期を示す指標ではありません。1998年7月の観測のように、高いCAPEのまま4年近く20%以上の下落に到達しなかった例もあります。
2025年9月からの今の局面
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| 月 | 月次のCAPE | 月 | 月次のCAPE |
|---|---|---|---|
| 2025年9月 | 38.59倍 | 2026年3月 | 37.04倍 |
| 2025年10月 | 39.31倍 | 2026年4月 | 38.15倍 |
| 2025年12月 | 39.59倍 | 2026年6月 | 40.16倍 |
| 2026年1月 | 39.65倍 | 2026年8月 | 41.13倍 |
| 2026年2月 | 39.02倍 | 2026年10月 | 41.38倍(月初時点) |
月次のCAPEは2025年9月に初めて38倍を超え、2026年3月に一度37倍台に下がった以外は、38倍以上が続いています。2025年9月の月末の終値6,688から、2026年9月21日までの約13か月で、S&P500の最大の下落は−5.6%(2026年3月)で、20%以上の下落は起きていません。
過去の27回では、1年以内に20%以上の下落に到達したのは11回で、残る16回は13〜48か月の間に到達していました。今の局面は、1年以内に到達しなかった側に入っています。これは予測ではなく、過去の観測と今の位置を並べたものです。
まとめ
月次のCAPEが38倍以上だった過去27回は、すべて4年以内に20%以上の下落を経験し、到達までの中央値は15か月でした。ただし、これは実質2つの相場局面の記録で、確率と呼べるものではありません。CAPEが教えてくれるのは、相場が歴史的に見てどれだけ割高な位置にあるかで、下落の時期ではありません。
この検証の限界
この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。
- 観測月は2つの相場局面に集中しており、互いに独立していません。
- 「20%以上の下落」は月中の安値で判定しています。月末の終値で判定すると、到達の時期や回数は変わります。
- 38倍という基準は、今の局面と比べるために置いた値です。基準を変えると観測月と結果は変わります(35倍以上では47回中40回)。また、CAPEの値は公表元や改定によって少し変わることがあり、基準付近の月は観測に入るかどうかが変わり得ます。
- 配当を含まない株価指数で計算しています。
- 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。
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PDFライブラリを見る公開日:2026/10/06 | データの時点:CAPEはmultplの月次値(2026年10月はその時点の値)、S&P500は2026年9月21日まで
