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20年の時間軸の上で、元本の線を上回って伸びていく株価チャートのイメージ

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「20年持てば元本割れしない」は本当?S&P500・ナスダック・日経平均を、買った月の全パターンで検証

  • 検証期間S&P500は1950年〜、ナスダック総合は1971年〜、日経平均(配当込み)は1985年〜、いずれも2026年5月末まで
  • 公開日2026/10/06

一言結論

「20年持てば必ずプラス」は過去の米国で成り立った経験則で、日本では20年で100万円が約34万円になった。境目の長さは、買った時点の割高さと対応していた。

「20年持てば、元本割れしない」。新NISAを始めた方なら、一度は聞いたことがある言葉です。では実際のデータでは、何年持てば元本割れしなくなったのでしょうか。

S&P500、ナスダック総合、ナスダック100、日経平均について、毎月末に買った全パターンを総当たりで計算し、「どの月に買っても元本割れしなくなる保有年数(境目)」を1年刻みで調べました。

この記事の結論

  1. 境目はS&P500 12年、ナスダック17年、日経平均32年どの月に買っても元本割れしなくなる保有年数は、S&P500が12年、ナスダック総合とナスダック100が17年、日経平均が32年でした(指数ごとにデータの期間が違う点に注意)。
  2. 日経平均1989年末からの20年は−66.5%日経平均を1989年12月末に買い、配当を再投資しながら20年持つと−66.5%で、100万円が約34万円になりました。配当込みで元の水準を取り戻したのは30.9年後の2020年11月です。
  3. 境目の長さは買った時点の割高さと対応境目の長さは、買った時点の割高さと対応していました。最悪の結果になったのは、ほぼすべてバブルの天井やその前後で買った人でした。
  4. 経験則であって法則ではない「20年で必ずプラス」は、過去の米国で成り立った経験則で、法則ではありません。また、指数の話であって、個別株には当てはまりません。
検証条件・計算方法を見る
項目内容
計算方法ローリング:毎月末に買い、指定の年数だけ持った場合の結果を、買った月ごとにすべて計算(S&P500なら900通り以上)。その中で最も悪かった人と最も良かった人を探す
配当S&P500と日経平均は配当込み。ナスダックは1999年より前の公式な配当込みデータがないため、配当を含まない価格で計算
その他インフレ調整前の名目の数字。一括投資、税金・手数料は考慮しない
データの期間S&P500は1950年から、ナスダック総合は1971年から、日経平均(配当込み)は1985年から、いずれも2026年5月末まで

※以下の表で「年率」と書いたものは1年あたりの成績、それ以外は保有期間全体の累積の成績です。

基本結果

S&P500(配当込み、1950年以降):境目は12年

表は横にスクロールできます

保有年数最も悪かった人最も良かった人
1年−43.3%(2008年2月に買い、リーマンショックを丸ごと浴びた)+61.1%(1982年6月、歴史的な大底の直前に買った)
5年年率−6.7%年率+29.5%
10年年率−3.5%(1999年2月〜2009年2月)年率+19.4%(1990年8月〜2000年8月、100万円が591万円)
12年年率+0.5%(1999年末〜2011年末)―
20年年率+4.7%(100万円が252万円)年率+18.2%(1980年3月〜、100万円が2,812万円)
30年100万円が1,327万円100万円が5,697万円

1年だけなら、同じ指数でも100万円が57万円になった人と161万円になった人がいます。この差を生んだのは銘柄選びではなく、「いつ買ったか」だけです。保有年数を延ばすとこの差は薄まり、12年持てば、1950年以降どの月に買った人も全員がプラスになりました。

興味深いのは、2000年3月という月です。1980年に買ってこの月に売った人は28倍で、20年保有の最高でした。一方、この月に買って2020年3月のコロナショックの底で売った人は2.5倍にとどまり、20年保有の最悪でした。同じ月が、ある人にとっては最高の出口で、ある人にとっては最悪の入り口だったのです。

基本結果

ナスダック(価格、配当を含まない):境目は17年

表は横にスクロールできます

ナスダック総合(1971年以降)ナスダック100
1年保有の最悪−59.8%(2000年3月末に買った)−67.3%(2000年9月〜2001年9月)
1年保有の最高+105.3%(1999年2月〜2000年2月)+121.6%
境目17年(15年で一度マイナスが消えるが、16年で再びマイナスが出る)17年
30年保有の最悪―年率+11.6%(1986年6月〜、100万円が2,691万円)

ナスダック総合の境目が15年でいったん消え、16年で再び現れるのは、どちらも2000年の天井で買った人がいるためです。

2000年3月末にナスダック100を買った人

保有期間結果
3年−76.8%
10年−55.5%(10年待って、まだ半分も戻っていない)
天井の水準の回復2015年2月(14.9年後)

※ナスダック100は、2000年3月から2002年9月までの2年半で、月末値で81.1%下落しました。

ナスダック100は、30年保有の最悪でも年率+11.6%と、今回調べた指数の中で「最悪」として最も強い数字でした。一方で、途中では指数が8割以上下がる局面があり、天井で買った人は元の水準まで約15年待つことになりました。長期のリターンは強烈ですが、その途中経過に耐えるのは簡単ではありません。

基本結果

日経平均(配当込み、1985年以降):境目は32年

1989年12月29日の大納会、日経平均は38,915円の史上最高値を付けました。この月末に日経平均を買い、配当をすべて再投資しながら持ち続けた人の結果です。

1989年12月末に買った場合結果(配当込み、累積)
5年後−47.6%
10年後−47.3%
15年後−66.1%
20年後−66.5%(100万円が約34万円)
25年後−39.1%
30年後−10.2%(100万円が約90万円)
天井の水準の回復2020年11月(30.9年後)

買った月をすべて調べても結論は同じでした。20年保有の最悪は、1989年2月に買って2009年2月に売った人で、年率−6.0%(累積でおよそ−71%)です。31年保有の最悪は、1989年3月に買って2020年3月のコロナショックの底で売った人で、年率−0.5%(累積で約−14%)でした。32年で、ようやく全員がプラスになります。それでも最悪の人は、わずかなプラスでした。

配当は無力ではなかったが、足りなかった

配当を含まない株価だけで見ると、1989年の天井の水準を回復したのは2024年2月で、34.2年後でした。配当込みでは30.9年後です。「失われた34年」は、配当を受け取り続けた投資家にとっては「失われた約31年」でした。

この検証の核心

4つの指数の境目を並べると

表は横にスクロールできます

指数境目計算の基準データの開始
S&P50012年配当込み1950年
S&P500(株価だけ)14年価格1950年
ナスダック総合17年価格1971年
ナスダック10017年価格1985年ごろ
日経平均32年配当込み1985年

※ナスダックと条件をそろえて株価だけで比べると、S&P500の境目は14年です。日経平均の境目は、1985年以降に買った人だけで計算しています。32年の保有が2026年5月までに終わるのは、1985年から1994年前半に買った人だけで、その多くがバブル期の前後です。S&P500(1950年以降)とは、比べている時代が違います。

日経平均で最も良かった1年は、2025年5月末に買って2026年5月末に売った人の+78.5%でした。一方、30年保有の最高は1996年に買った人の100万円が488万円で、S&P500の30年保有の最悪(100万円が1,327万円)に届きません。ただし、日経平均の30年保有は1985〜1996年に買った人しかいないため、この比較もバブル期を含む限られた時代どうしの比較です。

この検証の核心

なぜ、これほど差が生まれたのか

買った時点の割高さ

今回出てきた「最悪の人」は、リーマンショックの1年保有を除けば、ほぼ全員がバブルの天井かその前後で買った人でした。そして、その天井の割高さと、元本割れから抜け出すまでの年数は対応しています。

表は横にスクロールできます

天井の割高さその後
米国(2000年)CAPE(シラーPER)44.2倍、当時の過去最高S&P500の10年保有がマイナス、ナスダック100の回復まで14.9年
日本(1989年)1990年の東証一部の平均配当利回りは年0.49%。PERは、天井から4割下げた1990年末でも約40倍日経平均の配当込みの回復まで30.9年

配当の厚さ

S&P500の20年保有の最悪は、配当込みで年率+4.7%、株価だけなら年率+2.4%でした。境目も、配当込みなら12年、株価だけなら14年です。配当というクッションが、元本割れしなくなる時期を2年早めていました。配当利回りが0.49%だった当時の日本には、このクッションがほとんどありませんでした。

追加検証

新NISAで投資する人への3つの示唆

堀江は、このデータから次の3つを挙げています。

  • 1つ目:「20年で必ずプラス」は、過去の米国で成り立った経験則であって、法則ではありません。同じ20年が、日本では100万円を34万円にしました。
  • 2つ目:長期保有の正体は、時間が傷を癒すことではなく、高い買値に企業の利益と配当が追いつくのを待つことです。だから「いつ買うか」の重みは、長期投資でも消えません。薄まるだけです。見るべきは保有年数ではなく、買う時点の割高さです。割高さが決めるのは「いつ落ちるか」ではなく、「落ちた後、戻るのに何年かかるか」です。
  • 3つ目:今回の結果は、指数だから成り立ちました。指数は、衰えた企業を外して伸びる企業を組み入れながら、天井を取り戻しました。個別株には、この新陳代謝がありません。何年待っても戻らないことが普通にあり、上場廃止になれば待つこともできません。

まとめ

どの月に買っても元本割れしなくなる保有年数は、S&P500で12年、ナスダックで17年、日経平均で32年でした。そして、最悪の結果の多くは、割高な天井やその前後で買った人に集中していました。時間はリスクを消す薬ではなく、高い買値を少しずつ薄めていく薬で、高すぎる買値には30年かけても効かないことがありました。

この検証の限界

この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。

  • 指数ごとにデータの期間が違います。特に日経平均は1985年以降のデータで、長い保有年数ほど、バブル期の前後に買った人ばかりで計算されています。境目の年数を、指数どうしでそのまま比べることはできません。
  • 毎月ずらして買った全パターンは、期間が大きく重なっており、互いに独立した結果ではありません。
  • 割高さと回復年数の対応は、米国2000年と日本1989年の2つの例から見たもので、法則と言えるほどの数ではありません。
  • 一括投資、税引き前、インフレ調整前の名目の数字です。ナスダックは配当を含まない価格で計算しています。
  • 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。

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公開日:2026/10/06 | データの時点:各指数とも2026年5月末まで