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S&P500と全世界株式、米国を除く全世界株式の3本の線がそろって下落するチャートのイメージ

長期投資・積立・為替

米国以外の株式は、S&P500急落の逃げ場になる?急落した46回の月と3回の暴落を、オルカンと米国を除く全世界株式で検証

  • 検証期間1999年1月〜2026年9月(333か月)
  • 対象S&P500、MSCI ACWI、MSCI ACWI ex USA(配当込み、円換算)
  • 公開日2026/10/25

一言結論

S&P500が急落した46回の月、米国を除く全世界株式も46回中45回下がり、3回の暴落の下落率もS&P500より大きかった。差が出たのは、10年以上の長い期間の成績だった。

オルカン(全世界株式)に入っている株の6割以上は、米国の株式です。では、米国以外の株式を持っておけば、米国の株が大きく下がったときの逃げ場になるのでしょうか。S&P500が1か月で大きく下がった月と、ITバブル崩壊・リーマンショック・コロナショックの3回の暴落で、米国以外の株式がどう動いたのかを、配当込み・円換算のデータで確かめました。

この記事の結論

  1. 46回中45回(オルカンは46回中46回)が一緒に下がった円換算のS&P500(配当込み)が1か月で5%以上下がった月は、1999年1月〜2026年9月の333か月で46回ありました。そのとき、米国を除く全世界株式(MSCI ACWI ex USA)は46回中45回、オルカンが連動を目指す指数(MSCI ACWI)は46回中46回、下がっていました。下がらなかった1回は、2008年2月です。
  2. 46回の平均の騰落率はほとんど変わらない46回の平均の騰落率は、S&P500が−8.16%、米国を除く全世界株式が−7.60%、オルカンが−7.99%で、ほとんど変わりませんでした。S&P500が1か月で10%以上下がった9回では、米国を除く全世界株式も9回中9回下がり、平均は−12.86%(S&P500は−12.51%)でした。
  3. 3回の暴落の下落率は3回ともS&P500より大きい(コロナショックはほぼ同じ)ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックの3回の暴落では、高値からの最大の下落率は、3回とも、米国を除く全世界株式の方がS&P500より大きくなりました(コロナショックは−33.9%と−33.8%で、ほぼ同じ)。リーマンショックでは、S&P500が−63.3%、米国を除く全世界株式が−66.3%です。
  4. 差が出たのは10年以上の長い期間の成績差が出たのは、10年以上の長い期間の成績でした。1999年末から2009年末までの10年は、100万円がS&P500で約83万円、米国を除く全世界株式で約124万円になり、米国以外の方が上回りました。2009年末から2025年末までの16年は、S&P500で約1,395万円、米国を除く全世界株式で約477万円と、順番が逆になりました。
検証条件・計算方法を見る

使ったデータ

項目内容
米国を除く全世界株式MSCI ACWI ex USA指数(米国以外の先進国と新興国の株式)
オルカンeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が連動を目指す指数、MSCI ACWI指数(オール・カントリー・ワールド・インデックス)の値で計算。ファンドの基準価額ではありません
S&P500S&P500の配当込み指数(Yahoo Finance「S&P 500 (TR)」)
円ドル相場米連邦準備制度理事会(FRB)の円ドル相場(FREDに掲載、ニューヨーク正午の値)。ドル建ての指数に掛けて円に換算
研究フランソワ・ロンジャン、ブルーノ・ソルニック「国際株式市場の極端な局面での相関」(2001年)

※MSCIの指数は、税金が引かれる前の配当を再投資した値(グロス)で、S&P500の配当込み指数と条件をそろえています。1か月の騰落率は月末の値で、3回の暴落の下落率は日々の値で計算しました。税金や手数料は含めていません。この記事の騰落率と金額は、ドル建てと書いたもの以外は、すべて円換算です。

オルカンと、米国を除く全世界株式

オルカンの愛称で知られるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、三菱UFJアセットマネジメントが2018年10月31日に設定した投資信託で、MSCI ACWI指数(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指しています。MSCI ACWI指数に占める米国の株式の比率は、2026年9月30日時点で64.21%でした。

この記事の「米国を除く全世界株式」は、MSCI ACWI指数から米国を除いたMSCI ACWI ex USA指数です。日本や欧州などの先進国と、新興国の株式が入っています。オルカンのうち、米国以外の部分にあたります。

基本結果

S&P500が1か月で5%以上下がった46回

円換算のS&P500(配当込み)が、月末の値で1か月に5%以上下がった月は、1999年1月から2026年9月までの333か月で46回ありました。そのとき、ほかの指数はどう動いたのでしょうか。

表は横にスクロールできます

46回の月(配当込み、円換算)下がった回数46回の平均の騰落率
S&P50046回中46回−8.16%
米国を除く全世界株式(MSCI ACWI ex USA)46回中45回−7.60%
オルカン(MSCI ACWI)46回中46回−7.99%
参考:米国を除く先進国株式(MSCIワールド〈除く米国〉)46回中46回−7.52%

※米国を除く先進国株式(MSCIワールド〈除く米国〉)は、米国を除く全世界株式から新興国を除いた指数です。動画の「米国を除く全世界株式」の数字(46回中46回、平均−7.52%、3回の暴落の下落率、10年・16年の金額など)は、この指数で計算したものです。この記事では、新興国も含むMSCI ACWI ex USAで計算し直しています。

米国を除く全世界株式は、46回中45回下がっていて、平均の騰落率もS&P500とほとんど変わりませんでした。46回中20回は、米国を除く全世界株式の方が、S&P500より大きく下がっています。

下がらなかった1回は、2008年2月です。この月、S&P500は−5.56%でしたが、米国を除く全世界株式は+0.44%でした。オルカンは−2.07%です。

※税金が引かれた後の配当で計算した指数(ネット)で数えても、46回中、米国を除く全世界株式は45回、オルカンは46回下がっていて、同じ結果です。

円高の影響を除いても、一緒に下がっていた

46回のうち38回は、同じ月に円高も進んでいました。円高の月は、円換算すると、米国の株式も米国以外の株式も、同じように押し下げられます。そこで、為替の影響を除いたドル建てでも数えました。ドル建てのS&P500(配当込み)が1か月で5%以上下がった月は36回あり、米国を除く全世界株式は36回中35回、オルカンは36回中36回下がっていました。一緒に下がっていたのは、円高のせいだけではありませんでした。

S&P500が10%以上下がった9回

S&P500が1か月で10%以上下がった9回に絞ると、米国を除く全世界株式も9回中9回下がり、平均の騰落率は−12.86%でした。S&P500の平均の−12.51%より、わずかに大きい下げです。オルカンも9回中9回下がり、平均は−13.00%でした。

リーマンショックの最中の2008年10月は、S&P500が−22.81%、米国を除く全世界株式が−27.65%、オルカンが−25.59%でした。

反対に、S&P500が大きく上がった月

S&P500が1か月で5%以上上がった月は64回ありました。米国を除く全世界株式も、オルカンも、64回中64回上がっています。米国の株式が大きく動く月には、米国以外の株式も、ほとんどの場合、同じ方向に動いていました。

この検証の核心

下げ相場ほど、国どうしの値動きのつながりは強くなる

下げ相場で国どうしの値動きがそろいやすくなることは、研究でも確かめられています。フランスのビジネススクールの研究者、フランソワ・ロンジャンとブルーノ・ソルニックは、2001年に発表した研究で、世界の主要5か国の株式市場について、1959年1月から1996年12月までの月ごとのリターンを調べました。

その結果、株価が大きく下がる局面では、国どうしの値動きの相関(どれだけ同じ方向に動くか)が、値動きが正規分布に従うと仮定した場合に想定される水準よりも、はるかに高くなっていました。一方、株価が大きく上がる局面の相関は、想定どおりの水準でした。分散が一番必要な下げ相場で、国どうしの値動きがそろいやすくなるということです。

この検証の核心

3回の暴落:高値から安値までの最大の下落率

今度は、月末の値ではなく日々の値を使って、3回の暴落で、高値から安値までどれだけ下がったのかを見ます。

表は横にスクロールできます

最大の下落率(配当込み、円換算)S&P500オルカン(MSCI ACWI)米国を除く全世界株式
ITバブル崩壊−43.3%−43.5%−44.7%
リーマンショック−63.3%−64.8%−66.3%
コロナショック−33.8%−33.6%−33.9%

※高値と安値の日付は、ITバブル崩壊がS&P500 1999年7月9日→2002年7月23日、オルカン 2000年3月24日→2003年3月12日、米国を除く全世界株式 2000年3月27日→2003年3月12日。リーマンショックがS&P500 2007年7月19日→2009年3月6日、オルカン 2007年7月17日→2009年3月9日、米国を除く全世界株式 2007年10月11日→2009年3月9日。コロナショックがS&P500とオルカン 2020年2月20日→3月23日、米国を除く全世界株式 2020年1月17日→3月18日。円換算のため、高値の日付はドル建てとは違うことがあります。

3回とも、米国を除く全世界株式の下落率は、S&P500より大きくなりました。ただし、コロナショックは−33.9%と−33.8%で、ほぼ同じです。リーマンショックでは、それぞれの高値のときの100万円が、安値では、S&P500で約37万円、オルカンで約35万円、米国を除く全世界株式で約34万円まで減ったことになります。米国以外の株式を持っていても、暴落のときの下落率は、ほとんど小さくなりませんでした。オルカンの下落率がS&P500より小さかったのは、コロナショックの0.2%ポイント(−33.6%と−33.8%)だけです。

追加検証

差が出たのは、10年以上の長い期間の成績

では、地域を分けて持っても、成績に違いは出なかったのでしょうか。違いが出たのは、10年以上の長い期間の成績でした。

表は横にスクロールできます

100万円が(配当込み、円換算)S&P500オルカン(MSCI ACWI)米国を除く全世界株式
1999年末→2009年末(10年)約83万円約100万円約124万円
2009年末→2025年末(16年)約1,395万円約838万円約477万円

※月末の値で計算。1999年末→2009年末のオルカンは99.5万円。

ITバブル崩壊とリーマンショックが続いた1999年末から2009年末までの10年は、S&P500が約83万円に減ったのに対して、米国を除く全世界株式は約124万円に増えていました。この10年は、米国以外の株式の方が成績が良かったということです。オルカンは、ほぼ横ばいの約100万円でした。

ところが、その後の2009年末から2025年末までの16年では、順番が逆になります。100万円が、S&P500では約1,395万円、オルカンでは約838万円、米国を除く全世界株式では約477万円になりました。どの地域の成績が良いかは、この26年の間にも入れ替わっています。

まとめ

1999年1月からの333か月で、円換算のS&P500が1か月で5%以上下がった46回の月に、米国を除く全世界株式は46回中45回、オルカンも46回中46回下がっていました。平均の騰落率もほとんど変わらず、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックの3回の暴落では、米国を除く全世界株式の下落率は3回ともS&P500より大きくなりました(コロナショックはほぼ同じ)。米国以外の株式は、S&P500が大きく下がったときの逃げ場にはなっていませんでした。差が出たのは暴落の深さではなく10年以上の長い期間の成績で、米国の株式が振るわなかった10年は米国以外の株式の方が上回り、その後の16年はS&P500が大きく上回りました。

この検証の限界

この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。

  • 1か月の騰落率は月末の値で計算しており、月の途中の値動きは含みません。また、「5%以上の下落」の線の近くにある月(例:2022年1月の−5.13%)もあり、線の引き方によって回数は変わります。
  • 各指数の円換算は、ドル建ての指数の終値と、ニューヨーク正午の円ドル相場の組み合わせで計算しています。運用会社が公表する円換算の指数の値とは、小さな差が生じる可能性があります。
  • オルカンの数字は指数の値で、ファンドの信託報酬などのコストは含みません。また、MSCIの指数は税引き前の配当(グロス)で計算しているため、税引き後の配当(ネット)で計算した値より、成績は少し高めに出ます。たとえば2009年末→2025年末のオルカンは、ネットでは約773万円です。
  • 10年・16年の比較は、起点と終点の選び方によって、どちらの成績が良いかが変わります。1999年末は、ITバブル崩壊の前の高い水準でした。
  • 対象期間は1999年1月から2026年9月までです。下がらなかった2008年2月のような例外もあり、将来も同じように動くとは限りません。
  • ロンジャンとソルニックの研究は、1959年から1996年までの主要5か国の月次データによるものです。
  • 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。

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公開日:2026/10/25 | データの時点:MSCIの指数データ(1998年12月末〜2026年9月末)、S&P500配当込み指数(Yahoo Finance、2026年9月30日まで)、円ドル相場(FRED)。オルカンの米国の比率は2026年9月30日時点