
50%下がった株は50%上がっても戻らない。暴落の後、高値を取り戻すまで何年かかったか
- 50%下がった株が元に戻るのに必要な上昇+100%80%下落なら+400%
- S&P500:35%未満の下落7回2年2か月以内に回復
- S&P500:45%以上の下落3回回復まで5年6か月〜7年6か月
- 日経平均:1989年末からの−81.9%回復まで34年2か月
一言結論
下げが深いほど、元に戻るのに必要な上昇率は加速度的に大きくなり、実際の回復にも時間がかかる傾向があった。
100円の株が50%下がると50円になります。その50円から50%上がっても、75円にしかなりません。下がるときの50%は100円に対する50%、上がるときの50%は50円に対する50%だからです。では、実際の相場で大きく下げたとき、高値を取り戻すまでにどれくらいかかったのでしょうか。S&P500と日経平均が高値から20%以上下げた局面を、すべて調べました。
この記事の結論
- 必要な上昇率は加速度的に増える下落率が深くなるほど、元に戻るのに必要な上昇率は加速度的に大きくなります。20%の下落なら25%、50%なら100%、80%なら400%の上昇が必要です。
- S&P500の35%未満の下落は2年2か月以内に回復、45%以上は5年半以上1950〜2025年に、S&P500が高値から20%以上下げた局面は11回ありました。下げが35%未満だった7回は、高値から2年2か月以内に高値を取り戻していましたが、45%以上下げた3回は、取り戻すまでに5年6か月〜7年6か月かかっていました。
- 11回中8回は戻る方が時間がかかった11回のうち8回は、底から高値を取り戻すまでの期間の方が、高値から底までの期間より長くなっていました。リーマンショックでは、底まで1年5か月、底から回復まで4年1か月かかっています。
- 日経平均は34年2か月日経平均は、1989年末の高値から81.9%下げ、高値を取り戻すまでに34年2か月かかりました。
この検証は動画でも解説しています:動画を見る
検証条件・計算方法を見る
算数:下落率と、元に戻るために必要な上昇率
| 下落率 | 元に戻るために必要な上昇率 |
|---|---|
| −10% | +11.1% |
| −20% | +25.0% |
| −30% | +42.9% |
| −50% | +100% |
| −70% | +233% |
| −80% | +400% |
10%の下落なら、戻るのに必要な上昇は11.1%で、下がった分より少し多く上がれば戻ります。しかし50%下がると100%、つまり2倍にならないと戻りません。10%の下落と50%の下落は下落率では5倍の差ですが、戻るのに必要な上昇率では約9倍の差になります。
検証の方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 局面の定義 | 終値で史上最高値を付けた日から、その高値を終値で再び上回るまでを1つの局面とし、その間の最も安い終値までの下落率が20%以上だったものを数えた |
| データ | S&P500(Yahoo Finance)、日経平均(FRED)の日次の終値。1950〜2025年に高値を付けた局面 |
| 期間の数え方 | 高値から底まで、底から高値の回復までの月数(暦日から換算) |
※配当を含まない株価指数で計算しています。配当を再投資した場合は、回復はより早くなります。
S&P500:高値から20%以上下げた11回
表は横にスクロールできます
| 高値の日 | 下落率 | 高値→底 | 底→高値の回復 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1956年8月 | −21.5% | 1年3か月 | 11か月 | 2年2か月 |
| 1961年12月 | −28.0% | 6か月 | 1年2か月 | 1年9か月 |
| 1966年2月 | −22.2% | 8か月 | 7か月 | 1年3か月 |
| 1968年11月 | −36.1% | 1年6か月 | 1年9か月 | 3年3か月 |
| 1973年1月 | −48.2% | 1年9か月 | 5年10か月 | 7年6か月 |
| 1980年11月 | −27.1% | 1年8か月 | 3か月 | 1年11か月 |
| 1987年8月 | −33.5% | 3か月 | 1年8か月 | 1年11か月 |
| 2000年3月 | −49.1% | 2年7か月 | 4年8か月 | 7年2か月 |
| 2007年10月 | −56.8% | 1年5か月 | 4年1か月 | 5年6か月 |
| 2020年2月 | −33.9% | 1か月 | 5か月 | 6か月 |
| 2022年1月 | −25.4% | 9か月 | 1年3か月 | 2年1か月 |
※期間は暦日から月数に換算し、1か月未満を四捨五入。
2007年10月の局面は、10月9日の終値1,565.15から、2009年3月9日の676.53まで56.8%下げました。この安値から元の高値に戻るには、約131%の上昇が必要でした。終値で高値を更新したのは2013年3月28日(1,569.19)で、高値から約5年6か月後です。
下げが深いほど、回復に時間がかかった
表は横にスクロールできます
| 下落率 | 回数 | 高値から回復までの期間 |
|---|---|---|
| 20〜35%未満 | 7回 | 6か月〜2年2か月 |
| 35〜45%未満 | 1回 | 3年3か月(1968年) |
| 45%以上 | 3回 | 5年6か月〜7年6か月 |
下落が35%未満だった7回は、いずれも高値から2年2か月以内に高値を取り戻していました。一方、45%以上下げた3回(1973年、2000年、2007年)は、5年半から7年半かかっています。深く下げるほど、戻るのに必要な上昇率が大きくなるので、回復に時間がかかる傾向がありました。ただし、同じ30%台の下落でも、2020年は6か月、1968年(−36.1%)は3年3か月と差があり、深さだけで回復の早さが決まるわけではありません。
下げるより、戻る方が時間がかかった
11回のうち8回は、底から高値を取り戻すまでの期間の方が、高値から底までの期間より長くなっていました。1973年の局面は底まで1年9か月でしたが、底から回復までは5年10か月かかっています。下落と回復にかかる時間は、対称ではありませんでした。
参考:1929年の大暴落
1950年より前まで広げると、S&P500は1929年9月16日の終値31.86から、1932年6月1日の4.40まで86.2%下げました。終値でこの高値を上回ったのは1954年9月22日で、高値から25年後です(配当を含まない株価での計算)。
日経平均:高値から20%以上下げた9回
表は横にスクロールできます
| 高値の日 | 下落率 | 高値→底 | 底→高値の回復 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1953年2月 | −37.8% | 2か月 | 3年 | 3年2か月 |
| 1957年4月 | −20.7% | 8か月 | 9か月 | 1年5か月 |
| 1961年7月 | −44.2% | 4年 | 3年3か月 | 7年2か月 |
| 1970年4月 | −23.9% | 2か月 | 1年1か月 | 1年2か月 |
| 1971年8月 | −20.7% | 0か月(11日) | 4か月 | 5か月 |
| 1973年1月 | −37.4% | 1年9か月 | 3年6か月 | 5年2か月 |
| 1987年10月 | −21.1% | 1か月 | 5か月 | 6か月 |
| 1989年12月 | −81.9% | 19年2か月 | 14年11か月 | 34年2か月 |
| 2024年7月 | −26.3% | 9か月 | 4か月 | 1年1か月 |
最も極端だったのが1989年12月29日の高値(38,915円87銭)からの局面です。2009年3月10日の7,054円98銭まで81.9%下げ、元に戻るには約452%、つまり安値の5.5倍まで上がる必要がありました。終値で高値を更新したのは2024年2月22日の39,098円68銭で、高値から34年2か月後でした。
2024年7月の局面は、2024年8月の急落を含み、2025年4月7日の31,136円58銭まで26.3%下げましたが、2025年8月12日には高値を取り戻しています。
まとめ
下落率が深くなるほど、元に戻るのに必要な上昇率は加速度的に大きくなり、実際の相場でも回復までの時間は長くなっていました。S&P500では、35%未満の下落は2年2か月以内に回復した一方、45%以上の下落は回復に5年半以上かかっていました。そして、多くの局面で、下げるよりも戻る方に長い時間がかかっていました。日経平均のバブル崩壊のように、回復に30年以上かかった例もあります。
この検証の限界
この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。
- 配当を含まない株価指数で計算しています。配当を再投資した場合は、回復までの期間は短くなります。
- 物価の上昇を差し引いていない、名目の値で計算しています。
- S&P500で45%以上下げた局面は3回しかなく、回復期間の目安としては回数が少ない結果です。
- 株価指数の結果です。個別の銘柄では、下落がより深く、高値を取り戻せないこともあります。
- 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。
堀江投資塾会員限定
統計検証PDFライブラリ
この記事の検証結果をまとめた保存版PDFをご用意しています。無料会員の方は、過去の統計検証レポートもまとめて閲覧・ダウンロードできます。
PDFライブラリを見る公開日:2026/10/08 | データの時点:S&P500はYahoo Finance、日経平均はFREDの日次の終値。1950〜2025年(S&P500は参考として1929年の暴落も計算)
