
株価を見る間隔で、「マイナス」を見る回数はどう変わる?S&P500と日経平均の76年分で検証
- S&P500を1日ごとに見た場合上がっていたのは53.1%約2回に1回はマイナス
- 1年ごとに見た場合上がっていたのは74.4%約4回に1回はマイナス
- 損を得より重く感じる度合い約2倍研究による推定値1.96〜2.25
- 日経平均を10年ごとに見た場合(1990年以降)上がっていたのは50.6%
一言結論
毎日見ると約2回に1回、1年ごとなら約4回に1回、下がった数字に出会う。見る間隔で、マイナスを見る割合は大きく変わる。
同じ株を持っていても、損益を毎日見る人と、1年に1回しか見ない人がいます。見る間隔が違うと、「前に見たときより下がっている」場面に出会う回数は、どれくらい変わるのでしょうか。S&P500と日経平均の1950年以降のデータで数え、人が損をどう感じるかについての研究とあわせて確かめました。
この記事の結論
- 1日ごとは53.1%、1年ごとは74.4%が上昇S&P500を1日ごとに見ると、前の日より上がっていたのは53.1%で、ほぼ2回に1回は下がった数字を見ることになります。1年ごとに見ると、上がっていたのは74.4%で、下がっていたのは4回に1回ほどでした。
- 10年ごとは93.1%10年ごとに見ると、S&P500は93.1%、20年ごとでは1950年以降のすべての期間で上がっていました。持っている資産は同じでも、見る間隔によって、見た結果がマイナスだった割合は大きく変わります。
- 損失回避の研究と、結果を知らされる回数の実験人は、同じ金額でも損の痛みを得の喜びの約2倍に感じるという研究があり、結果を知らされる回数を減らしたグループの方が、多くのリスクを取ったという実験もあります。
- 日経平均の1990年以降は10年ごとでも約半分ただし、長く持てば必ずプラスになるわけではありません。日経平均は1990年以降で見ると、10年ごとに見ても上がっていたのは50.6%でした。
この検証は動画でも解説しています:動画を見る
検証条件・計算方法を見る
検証の方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| データ | S&P500(Yahoo Finance)、日経平均(FRED)の日次の終値。1950〜2025年 |
| 数え方 | すべての営業日を起点にして、決めた間隔(1日、1か月=21営業日、1年=252営業日など)の後に終値が上がっていたかどうかを数え、その割合を出した |
※配当を含まない株価指数で計算しています。配当を含めると、上がっていた割合はやや高くなります。
見る間隔ごとの「上がっていた割合」
表は横にスクロールできます
| 見る間隔 | S&P500 | 日経平均 | S&P500で下がっていた割合 |
|---|---|---|---|
| 1日 | 53.1% | 52.6% | 46.9%(約2回に1回) |
| 1週間 | 56.9% | ― | 43.1% |
| 1か月 | 61.8% | 58.7% | 38.2% |
| 3か月 | 66.7% | ― | 33.3% |
| 1年 | 74.4% | 65.9% | 25.6%(約4回に1回) |
| 3年 | 85.5% | ― | 14.5% |
| 5年 | 84.0% | ― | 16.0% |
| 10年 | 93.1% | 76.4% | 6.9% |
| 20年 | 100% | 79.0% | 0% |
※1950〜2025年。日経平均は1年=245営業日、10年=2,450営業日などで計算。期間が重なっているため、3年と5年のように、間隔が長い方が割合がわずかに低くなることもあります。
S&P500を毎日見る人は、ほぼ2回に1回、前の日より下がった数字を目にします。1年ごとに見る人なら、それは4回に1回ほどです。見た結果のうちマイナスだった割合だけで約2倍違い、毎日見る人は見る回数そのものも1年に約250回と多いので、マイナスに出会う回数の合計はさらに大きく違います。10年ごとに見れば、下がっていた期間は7%ほどでした。
人は、損を得の約2倍重く感じる
では、マイナスに出会う回数が増えると、何が起きるのでしょうか。手がかりになるのが、人が損と得をどう感じるかについての研究です。
| 研究 | 内容 |
|---|---|
| トベルスキーとカーネマン(1992年) | 損を得よりどれだけ重く感じるかを表す値を2.25と推定。同じ金額でも、損の痛みは得の喜びの約2倍 |
| ブラウンらのメタ分析(2024年) | 1992〜2017年の607件の推定値を集めた分析で、平均は約1.96。値には幅があるが、損を重く感じる方向は共通 |
損益を毎日見れば、ほぼ2回に1回は下がった数字に出会い、そのたびに得の約2倍の重さで痛みを感じることになります。
結果を知らされる回数を減らすと、取るリスクが増えた
グニージーとポッターズが1997年に行った実験では、参加者が9回のくじに手元の資金からいくら賭けるかを決めました。くじは3回に1回当たり、当たれば賭けた金額の2.5倍が戻る、期待値では賭けた方が有利なくじです。
| グループ | 賭けた金額の平均(手元の資金に対する割合) |
|---|---|
| 1回ごとに結果を見せられたグループ | 約50% |
| 3回まとめてしか結果を見せられなかったグループ | 約68% |
くじの中身も当たる確率も同じでした。違ったのは、結果を知らされる回数と、賭ける金額を決め直せる回数です(3回まとめてのグループは、3回分の賭け金も最初にまとめて決めました)。結果を頻繁に知らされたグループの方が、期待値で有利なくじに対して慎重になっていました。なお、この実験はオランダの大学生84人を対象にした少額の賭けで、くじの条件を変えると同じ結果にならなかったという研究もあります。
ただし、長く持てば必ずプラスとは限らない
表は横にスクロールできます
| 日経平均 | 1950〜2025年 | 1990〜2025年 |
|---|---|---|
| 1日ごと | 52.6% | 51.1% |
| 1年ごと | 65.9% | 53.8% |
| 10年ごと | 76.4% | 50.6% |
| 20年ごと | 79.0% | 59.0% |
※上がっていた割合。
S&P500は20年ごとに見ると100%の期間で上がっていましたが、日経平均を1990年以降で見ると、10年ごとでも上がっていたのは約半分でした。1989年末のバブルの頂点の後、長く高値を取り戻せなかったためです。見る間隔を長くすればマイナスに出会う回数は減りますが、どの市場でも長く持てば必ずプラスになるわけではありません。
まとめ
S&P500を毎日見ると約2回に1回、1年ごとに見ると約4回に1回の割合で、前に見たときより下がった数字に出会います。人は損を得の約2倍重く感じ、結果を頻繁に知らされたグループの方が、有利な賭けにも慎重になったという実験があります。見る間隔が、その人が実際に取れるリスクの大きさに影響している可能性があります。一方で、日経平均の1990年以降のように、長く持っても上がらなかった期間もありました。
この検証の限界
この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。
- 配当を含まない株価指数で計算しています。
- すべての営業日を起点にしているため、1年以上の間隔では期間が重なっており、独立した結果ではありません。
- S&P500の20年ごとの結果は1950年以降のデータによるものです。1929年の大暴落を含む期間まで広げると、20年たっても株価が下がっていた期間があります。
- 損失回避の値や実験の結果は、それぞれの研究の条件のもとでの数字です。
- 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。
堀江投資塾会員限定
統計検証PDFライブラリ
この記事の検証結果をまとめた保存版PDFをご用意しています。無料会員の方は、過去の統計検証レポートもまとめて閲覧・ダウンロードできます。
PDFライブラリを見る公開日:2026/10/08 | データの時点:S&P500はYahoo Finance、日経平均はFREDの日次の終値。1950〜2025年
