
損切りした株は、その後どうなった?日米1,158回の損切りのその後と、持ち続けた場合の下げを検証
- 翌月のうちに売った値段より高い値段10回に9回近く米国株954回中857回、日本株204回中182回
- その後、上場来高値を再び更新10回に8回以上米国株954回中817回、日本株204回中169回
- 持ち続けた場合の途中の下げ(中央値)30.9%・32.1%米国株・日本株
- 同じ銘柄にもう一度買いのサイン10回に8回以上米国株954回中808回、日本株204回中165回
一言結論
損切りした株の10回に9回近くは、翌月のうちに売った値段より高い値段をつけていたが、損切りせずに持ち続けていた場合、買値からの途中の下げは中央値で3割を超えていた。
キオクシアの株価は、2026年10月5日の高値19,750円から、10月15日には12,675円まで、36%下げました。その後も下げは止まらず、10月23日には11,380円と、10月5日の高値から42%下げています(いずれも日中の高値と安値)。損切りした途端に株価が上がって、悔しい思いをしたことはないでしょうか。あるいは、それが嫌で、損切りできずに持ち続けたことはないでしょうか。損切りした株がその後どうなったのかを、日米の株価データで確かめました。
この記事の結論
- 損失で終わった損切りは米国株954回、日本株204回2010年1月〜2026年9月に、S&P500と日経平均の今の構成銘柄を、決めたルールどおりに売買した記録で、損失で終わった損切りは、米国株で954回、日本株で204回ありました(2026年8月までの損切り)。
- 翌月のうちに売った値段より高い値段は10回に9回近く(翌月末の終値でも10回に6〜7回)損切りした翌月のうちに、売った値段より高い値段をつけていたのは、米国株で954回中857回、日本株で204回中182回でした。日米とも10回に9回近くです。翌月末の終値で比べても、売った値段より高かったのは、米国株で954回中614回、日本株で204回中144回ありました。
- 10回に8回以上はその後に上場来高値を更新損切りした時点までの上場来高値を、その後に再び更新していたのは、米国株で954回中817回、日本株で204回中169回でした。更新までの期間は、中央値で米国株が6か月、日本株が11か月です。
- 持ち続けた場合の途中の下げは中央値で3割超一方、損切りせずに2026年9月まで持ち続けていた場合、買値からの途中の最大の下落は、中央値で米国株が30.9%、日本株が32.1%でした。買値から3割以上下げたのは米国株で954回中499回、日本株で204回中109回、半値以下まで下げたのは954回中194回、204回中49回です。
- 10回に8回以上はもう一度買いのサイン損切りしたあと、同じ銘柄でもう一度買いのサインが出ていたのは、米国株で954回中808回、日本株で204回中165回でした。
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使ったデータ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | S&P500の構成銘柄503銘柄(2026年10月24日時点の一覧)と、日経平均の構成銘柄225銘柄(2026年10月23日時点)。今の構成銘柄で、過去に指数から外れた銘柄や上場廃止になった銘柄は含みません |
| 株価 | Yahoo Financeの株価(株式分割を調整した値)。米国株は月足、日本株は日足を日本時間の暦月でまとめた月足 |
| 期間 | 買いは2010年1月〜2026年9月。株価は2026年9月まで |
| 売買 | 上場来高値の更新を使って買い、決めた価格を下回ったら損切りするルールで機械的に売買したとして計算(ルールの詳細はこの記事では扱いません)。同じ銘柄は、手仕舞うまで次を買いません |
| 研究 | テランス・オディーン「投資家は損失の確定をためらうか」(1998年) |
※「損失で終わった損切り」は、損切りの価格が買値より低かった売買です。翌月の値動きを見るため、損切りが2026年8月までのものを数えました(米国株379銘柄・954回、日本株110銘柄・204回)。手数料・税金・配当は含めていません。
損切りした翌月、10回に9回近くは売った値段より高い値段をつけた
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| 損失で終わった損切りのうち | 米国株 | 日本株 |
|---|---|---|
| 翌月のうちに、売った値段より高い値段をつけた | 954回中857回 | 204回中182回 |
| 翌月のうちに、最初に買った値段まで戻した | 954回中426回 | 204回中86回 |
| 翌月末の終値が、売った値段より高かった | 954回中614回 | 204回中144回 |
| 翌月のうちに、売った値段より安い値段もつけた | 954回中618回 | 204回中124回 |
損切りした翌月のうちに、売った値段より高い値段をつけていたのは、日米とも10回に9回近くでした。最初に買った値段まで戻していたのも、10回に4回あまりあります。翌月のうちに、含み損が一度消えていたことになります。ただし、これは月の中で一番高い値段で比べた数字です。翌月末の終値で比べると、売った値段より高かったのは、米国株で10回に6回あまり、日本株で10回に7回でした。「売った途端に上がる」は、終値で見ても、気のせいではありませんでした。一方で、翌月のうちに売った値段より安い値段をつけた例も、米国株で954回中618回、日本株で204回中124回ありました。損切りした翌月は、売った値段の上と下の両方をつけていた例が多かったということです。
※月足のデータのため、翌月の中で一番高い値段(月の高値)で比べています。
10回に8回以上は、その後に上場来高値を更新した
損切りしたあと、その銘柄が、損切りした時点までの上場来高値を、再び更新したかどうかを数えました。
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| 損失で終わった損切りのうち | 米国株 | 日本株 |
|---|---|---|
| その後、上場来高値を再び更新した | 954回中817回 | 204回中169回 |
| 更新までの期間(中央値) | 6か月 | 11か月 |
日米とも、10回に8回以上は、損切りした後に上場来高値を更新していました。ここまでを見ると、損切りは間違いだったように見えます。売った途端に戻り、しばらくすると高値まで更新していくからです。
研究:含み損の株を持ち続けると、その後の成績は振るわなかった
では、含み損のまま持ち続けた株は、その後どうだったのでしょうか。テランス・オディーンという研究者が1998年に発表した研究は、米国の大手ディスカウント証券会社の1万口座の売買記録(1987〜1993年)を調べました。
その結果、個人投資家は、値上がりした株を売りやすく、値下がりした株を売らずに持ち続けやすい傾向が、はっきり出ていました。しかも、利益が出て売った株は、含み損のまま持ち続けた株より、その後の1年間の市場平均に対するリターンが、平均で3.4%ポイント高くなっていました。売った株のほうがその後もよく上がり、持ち続けた株のほうがその後も振るわなかったということです。
いずれ値段が戻るかどうかと、持ち続けたことが得だったかどうかは、別の話です。
損切りせずに持ち続けていたら、途中で何が起きていたか
損切りした954回と204回について、損切りせずに2026年9月まで持ち続けていた場合に、買値から途中でどこまで下げていたかを数えました。
表は横にスクロールできます
| 損切りせずに持ち続けた場合 | 米国株 | 日本株 |
|---|---|---|
| 買値からの途中の最大の下落(中央値) | 30.9% | 32.1% |
| 買値から3割以上下げた | 954回中499回 | 204回中109回 |
| 買値から半値以下まで下げた | 954回中194回 | 204回中49回 |
※買った月から2026年9月までの月の安値のうち、一番安い値段と買値を比べています。
真ん中の例でも、買値から3割前後下げていたということです。半値以下まで下げたのも、日米とも4〜5回に1回ありました。
信用取引で持っていた場合の計算
これを信用取引で持っていたら、どうなるでしょうか。例えば三菱UFJ eスマート証券(旧社名:auカブコム証券)では、新しく建てる金額の30%の保証金が必要で、保証金が建てた金額の20%を下回ると、追加の保証金(追証)が必要になります。保証金の約3.3倍の金額まで株を買えるということです。
保証金いっぱいまで買った場合、株価が10%を超えて下がると、預けた保証金の3分の1以上が消えて、追証がかかります。株価が30%下がると、預けた保証金はすべてなくなる計算です。持ち続けた場合の途中の下げは、真ん中の例で3割前後で、キオクシアの10月の下げ(10月23日までに高値から42%)も、この3割を上回っていました。
※三菱UFJ eスマート証券の数字は、同社の信用取引の解説ページ(2026年10月時点)によります。最低保証金維持率は証券会社によって違います。計算は、保証金を現金で預け、建てた金額に対する比率で考えた場合です。
損切りした後も、10回に8回以上は、もう一度買いのサインが出た
表は横にスクロールできます
| 損失で終わった損切りのうち | 米国株 | 日本株 |
|---|---|---|
| その後、同じ銘柄でもう一度買いのサインが出た | 954回中808回 | 204回中165回 |
損切りしたあとも、日米とも10回に8回以上は、同じルールで同じ銘柄にもう一度買いのサインが出ていました。損切りしても、その銘柄に乗り直す機会がなくなるわけではありませんでした。ただし、乗り直す機会があるのは、資金が残っていて、相場に残っている人だけです。
まとめ
損切りした株の10回に9回近くは、翌月のうちに売った値段より高い値段をつけ(翌月末の終値で比べても、10回に6〜7回は売った値段より高く)、10回に8回以上は、その後に上場来高値を更新していました。損切りしないほうがよかったと感じるのは自然です。一方、損切りせずに持ち続けていた場合、買値からの途中の下げは中央値で3割を超え、信用取引で保証金いっぱいまで買っていれば保証金がなくなる深さでした。研究でも、含み損のまま持ち続けた株は、利益が出て売った株より、その後の1年の成績が平均で3.4%ポイント低くなっていました。そして、損切りした後も、10回に8回以上は同じ銘柄にもう一度買いのサインが出ていました。
この検証の限界
この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。
- 対象は今のS&P500と日経平均の構成銘柄だけで、過去に指数から外れた銘柄や上場廃止になった銘柄は含みません。損切りの後に崩れていった銘柄が抜けているため、「その後に上場来高値を更新した」回数は多めに出ている可能性があります。
- 上場来高値は、Yahoo Financeのデータが始まる時点からの高値で計算しています。データが始まるのは、早い銘柄でも米国株の多くが1985年、日本株の多くが2000〜2001年です。それより前の高値(日本株のバブル期の高値など)は含みません。
- 月足のデータで計算しているため、月の中での値動きの順番は分かりません。買った月のうちに損切りの価格を下回った場合は、その月に損切りしたとして数えました。
- 1つの決めたルールで機械的に売買した場合の結果です。ルールが違えば、損切りの回数やその後の数字は変わります。動画で紹介した回数(米国株786回、日本株180回)とは一致しません。この記事の数字は、株価のデータを取り直して計算し直したものです。それぞれの割合は、動画の数字と大きくは違いませんでした。
- 「翌月のうちに売った値段より高い値段をつけた」は月の高値で比べたもので、その値段で売り買いできたことを意味するものではありません。
- 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の銘柄や商品の売買を推奨するものではありません。
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PDFライブラリを見る公開日:2026/10/25 | データの時点:株価はYahoo Finance(米国株は月足、日本株は日足から作った月足、2026年9月まで)。S&P500の構成銘柄503銘柄(2026年10月24日時点)と日経平均の構成銘柄225銘柄(2026年10月23日時点)
