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下落に転じた半導体株指数の月足と、信用残÷M2の数字、下落する金価格の線のイメージ

暴落・急落とバブル

半導体株(SOX指数)が月足で下落のN波動、信用残÷M2はITバブルの天井並み過去の下げの深さ・CAPE・金の下落を検証

  • 検証期間SOX指数は1994年5月〜2026年10月、信用残÷M2は1997年1月〜2026年9月、CAPEは1881年〜2026年10月
  • 対象SOX指数、日経平均、S&P500、ナスダック総合指数、金先物
  • 公開日2026/11/02

一言結論

信用残÷M2は2026年9月に6.34%で、ITバブルの天井だった2000年3月の6.33%とほぼ同じ水準。1997年以降の6つの山では比率が高い山ほど下落が深かったが、もとになった山は6回だけで、下落が起きるかどうかや、その時期を示すものではない。

2026年10月30日の米国市場で、半導体株の値動きを表すSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は1日で7.20%下落し、前日の1.42%安に続いて大きく値を崩しました。この日は、安全資産とされる金も、ニューヨークの先物で3.29%下落しています。株と金が同じ日に売られた今の位置を、チャートの形、信用取引の借金の大きさ、株価の割高さ、金の値動きの4つの面から、過去のデータで確かめました。

この記事の結論

  1. SOX指数の月足の下落N波動の後、過去7回すべてでさらに10%以上下落1994年以降、SOX指数の月足が下落のN波動になり、主要な安値を割り込んだ局面は7回ありました。7回中7回、割った価格からさらに10%以上下げていて、下げの深さは12.4%から74.5%まで分かれました。2026年10月30日、SOX指数は7月29日の安値10,445.44を割り込み、月足で同じ形になりました。
  2. 信用残÷M2は2026年9月に6.34%で、ITバブルの天井とほぼ同じ信用取引残高をM2(マネーサプライ)で割った「信用残÷M2」は、2026年9月に6.34%で、ITバブルの天井だった2000年3月の6.33%とほぼ同じ水準です。1997年以降の6つの山では、比率が高い山ほど、その後の下落が深くなっていました。
  3. 回帰分析に当てはめた計算上の下落率(日経平均66.9%、S&P500 54.0%、ナスダック総合指数72.4%、SOX指数78.9%)この関係を回帰分析で式にして今の6.34%を当てはめると、山からの下落率の計算上の値は、日経平均66.9%、S&P500 54.0%、ナスダック総合指数72.4%、SOX指数78.9%でした。ただし、もとになった山は6回だけで、下落が起きるかどうかや、その時期を示すものではありません。
  4. CAPE30倍以上の月から始めた10年は平均で年1.4%CAPE(シラーPER)が30倍以上の月から始めると、その後10年のリターンは平均で年1.4%(57か月中25か月がマイナス)、35倍以上の月からは年マイナス0.1%(34か月中23か月がマイナス)でした。2026年10月のCAPEは40.7倍です。
  5. 金は1月の史上最高値から30.2%下落、実質金利の上昇と投機筋の買い建玉の減少金先物は1月の史上最高値から10月30日までに30.2%下落しました。米国の10年物の実質金利は10月5日に2.95%と2008年11月以来の高さになり、投機筋の金先物の買い建玉は、8月25日の約16万枚から10月27日には約12万3千枚まで減りました。
検証条件・計算方法を見る

使ったデータ

項目内容
株価・指数SOX指数、ナスダック総合指数、S&P500、日経平均、金先物(ニューヨーク、期近)、日経平均先物(CME、ドル建て)、インテル、シスコシステムズ:Yahoo Financeの日足(2026年10月30日まで)。月足・週足は日足から作成
信用取引残高FINRA(米国証券業界の自主規制機関)が毎月公表する、証券会社の信用取引口座の借入残高(Debit Balances)。1997年1月〜2026年9月
M2FRBが公表するマネーサプライ(M2、季節調整前の月次)。米セントルイス連銀のFREDから取得。1997年1月〜2026年9月
CAPEロバート・シラー教授の公開データ(S&P500、2026年10月分まで)。リターンは配当込みで、物価の調整はしない名目の値
金利FREDの日次データ。米10年物の実質金利(物価連動国債の利回り)、10年債利回り、期待インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率)、BAA格・AAA格の社債利回り
金先物の建玉CFTC(米国商品先物取引委員会)の建玉明細(先物のみ、ニューヨーク商品取引所の金)。運用会社などの投機筋(マネージド・マネー)の買い建玉
シスコの業績シスコシステムズの年次報告書(2000年7月期、米国証券取引委員会に提出)
基本結果

2026年10月30日:株と金が同じ日に売られた

SOX指数は10月30日に7.20%下落し、10,688.80で引けました。前日の29日にも1.42%下げていて、2日で8.5%の下落です。29日(木)にはアルファベット、30日(金)にはインテルとアマゾンの決算が売り材料となり、AIへの巨額の投資を回収できるのかという懸念が広がったと報じられています。インテルの株価は、30日に1日で28.58%下落しました。

この日は、金もニューヨークの先物(期近)が3.29%下落し、3,898.9ドルで引けました。報道では、ハイテク株の下落で現金を確保しようとする動きが、安全資産とされる金にも及んだと伝えられています。

4つのチャートの位置

表は横にスクロールできます

対象直近の高値と安値10月30日の位置
SOX指数6月22日の高値14,655.29 → 7月29日の安値10,445.44 → 10月6日の戻り高値13,349.96(6月の高値より低い)安値10,439.01で、7月29日の安値を割り込んだ(終値は10,688.80)
ナスダック総合指数6月1日の高値27,190.21 → 7月29日の安値24,425.34 → 10月6日の高値27,722.75(6月の高値より高い)終値25,437.00。7月29日の安値まで4.0%の下げで届く位置
金先物高値を1月29日の5,586.2ドル → 3月2日の5,434.1ドル → 4月17日の4,917.7ドル → 8月25日の4,755.0ドルと切り下げ安値3,879.3ドルで、6月30日の安値3,955.4ドルを割り込んだ(終値は3,898.9ドル)
日経平均先物(CME、ドル建て)6月22日の高値73,830 → 7月29日の安値60,575 → 10月6日の戻り高値71,540(6月の高値より低い)終値62,635。7月29日の安値まで3.3%の下げで届く位置

※高値・安値はザラ場(取引時間中)の値。「〇%の下げで届く位置」は、10月30日の終値から7月29日の安値までの下落率です。

戻っても前の高値を超えられずに、前の安値を割り込む形を、下落のN波動と呼びます。SOX指数は、この形で7月29日の安値を割り込みました。主要な高値・安値を値動きの大きさに応じた一定のルールで機械的に判定しても、SOX指数は10月の月足で、金先物は10月30日までの週足で、下落のN波動の条件を満たしています。

一方、ナスダック総合指数は、月足で7月の安値が主要な安値で、10月の高値は6月の主要な高値を上回っています。同じハイテク株の指数でも、SOX指数とは位置が違います。日経平均先物は、6月の高値から戻り高値を切り下げていますが、7月29日の安値はまだ割っていません。

基本結果

SOX指数の月足:下落のN波動の後、過去7回すべてでさらに10%以上下げた

データのある1994年以降、SOX指数の月足が下落のN波動になり、主要な安値を割り込んだ局面は7回ありました。割った価格から、その局面の最安値までの下げを、浅い順に並べました。

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局面(浅い順)安値を割った月割った価格底の月底の安値割ってからの下げ
2022年の下落相場2022年9月2,386.662022年10月2,089.8212.4%
2018年末の急落2018年10月1,223.082018年12月1,066.3912.8%
1995〜96年の半導体株の急落1996年7月163.761996年7月138.9815.1%
トランプ関税ショック2025年3月4,290.342025年4月3,388.6221.0%
アジア通貨危機〜ロシア危機1998年6月242.781998年10月182.5924.8%
世界金融危機(リーマン・ショック)2008年1月384.272008年11月167.5556.4%
ITバブル崩壊2000年10月821.572002年10月209.3574.5%

※割った価格は、主要な安値の0.01ポイント下。底の安値はザラ場の値。局面の区切り方と底の測り方は、このサイトの記事「半導体株(SOX指数)の月足が下落のN波動で安値を割った7つの局面、その後どこまで下げた?」と同じです。

一番浅かった2022年の下落相場でも12.4%下げていて、7回中7回、割った価格からさらに10%以上下げています。20%以上下げたのは7回中4回で、ITバブル崩壊では74.5%、リーマン・ショックでは56.4%まで下げました。

また、7回のうち3回(1998年6月、2018年10月、2022年9月)は、安値を割り込んだ日の終値が、割られた安値より上で引けていました。それでも、その後さらに下げています。今回も、10月30日の終値10,688.80は、7月29日の安値10,445.44を上回って引けました。

同じ月足の下落のN波動でも、12%ほどで止まった回もあれば、7割を超えた回もあります。この差と、信用取引の借金の大きさを、次の章で比べます。

この検証の核心

信用残÷M2:2026年9月は6.34%、ITバブルの天井とほぼ同じ

FINRAが毎月公表する信用取引残高は、投資家が証券会社からお金を借りて株を買っている金額の合計です。これを、世の中に出回るお金の量であるM2で割ると、マネーサプライに対して信用取引の借金がどれほど膨らんでいるか、つまり信用取引の濃度が分かります。

信用取引で株を買っている人は、株価が大きく下がると、追加の証拠金が必要になります。そのお金を用意するために、すぐに売れる資産から売ることがあります。借金で株を買っている人が多いほど、下げの局面ではこうした売りが出やすくなります。

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月信用取引残高M2信用残÷M2
2000年3月(ITバブルの天井)2,999億ドル4兆7,376億ドル6.33%
2026年6月1兆5,021億ドル23兆471億ドル6.52%
2026年9月1兆4,801億ドル23兆3,396億ドル6.34%

※M2はFRBの月次の値(季節調整前)。M2は、あとから改定されることがあります。このサイトの記事「半導体株(SOX指数)の月足が下落のN波動で安値を割った7つの局面…」では、改定前のM2で2026年6月を6.51%としていました。また、記事「信用取引残高と金利5%が重なると株は崩れる?」は、M2の週次データ(各月の最終週の値)で計算しているため、数字がわずかに違います。

2026年9月の比率は6.34%で、ITバブルの天井だった2000年3月の6.33%とほぼ同じ水準です。この比率は、2026年6月には6.52%まで上がり、1997年以降で最も高くなっていました。

2000年3月の後、株価はどこまで下がったか

2000年3月以降の高値から、月末の終値で測ると、日経平均は2003年4月までに61.5%、S&P500は2002年9月までに46.3%、ナスダック総合指数は2002年9月までに74.4%下落しました。日経平均とナスダック総合指数は、資産が半分以下になる下落でした。

1997年以降の6つの山:山が高いほど、下落は深かった

1回の例だけでは偶然かもしれません。そこで、1997年以降の信用残÷M2の山を、前後12か月で最も高く、しかも4%以上という機械的なルールで選びました。山は、2000年3月、2007年7月、2014年2月、2015年4月、2018年1月、2021年10月の6つです。それぞれの山から次の山までの間に、株価が高値からどこまで下がったかを並べました。

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山の月信用残÷M2日経平均S&P500ナスダック総合SOX指数
2000年3月6.33%61.5%46.3%74.4%79.8%
2007年7月5.71%56.1%52.6%51.8%60.4%
2014年2月4.49%3.6%3.5%4.5%4.9%
2015年4月4.57%24.3%8.9%11.1%19.1%
2018年1月4.79%21.6%20.0%18.2%18.3%
2021年10月4.43%13.2%24.8%33.1%41.5%

※各指数の数字は、山の月から次の山の前の月まで(2021年10月の山は2026年5月まで)の、月末の終値で測った高値からの最大の下落率。2026年6月(6.52%)は、その後12か月がまだたっていないため、山の判定に入れていません。

比率が高い山ほど、下落が深くなっています。たとえば日経平均では、比率が5.71%だった2007年7月の山の後は56.1%下落し、4.49%だった2014年2月の山の後は3.6%の下落にとどまりました。

前の章のSOX指数の7つの局面でも、同じ傾向が見られます。信用取引残高のデータがない1995〜96年の局面を除く6回のうち、割ってから50%以上下げたITバブル崩壊とリーマン・ショックは、安値を割った月までの12か月の間に、比率が5.5%を超えていました(6.33%と5.71%)。12〜25%の下げで止まった残りの4回は、3.70〜4.79%でした。

回帰分析で、今の6.34%を当てはめると

6つの山の比率と下落率の関係を、指数ごとに回帰分析で直線の式にして、2026年9月の6.34%を当てはめました。起点の高値は、日経平均とSOX指数が6月22日、S&P500とナスダック総合指数が10月6日の高値です。

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指数当てはまり(R²)6.34%での下落率起点の高値計算上の水準
日経平均0.9166.9%72,831.73円約24,100円
S&P5000.7454.0%7,844.52約3,610
ナスダック総合指数0.8472.4%27,722.75約7,660
SOX指数0.7878.9%14,655.29約3,090

※R²は、6つの山の下落率のばらつきのうち、式で説明できる割合(1に近いほど当てはまりがよい)。下落率は月末の終値で測ったもので、起点の高値はザラ場の値です。今の6.34%は、6つの山で最も高かった2000年3月の6.33%を、わずかに上回っています。

これは、過去6回の山で見られた関係をそのまま延ばした、計算上の値です。下落が起きるかどうかや、いつ起きるかを示すものではありません。

追加検証 1

CAPE:40.7倍。30倍以上の月から始めた10年のリターンは平均で年1.4%

CAPE(シラーPER)は、株価を、物価の影響を除いた過去10年の平均利益で割った指標です。たとえばCAPEが40倍なら、株価が、企業の1年分の平均的な利益の40倍の値段になっているということです。数字が大きいほど、利益に比べて株価が割高だという意味になります。ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授は、割高なときに買うとその後のリターンが低く、割安なときに買うとその後のリターンが高い、という関係を示しました。

シラー教授の公開データで、1881年以降のS&P500について、買った月のCAPEの水準ごとに、その後10年のリターン(配当込み、物価の調整はしない名目、年率)を平均しました。

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買った月のCAPE月数その後10年の平均リターン(年率)マイナスになった月数
全期間1,6309.5%51
10倍未満22913.5%1
10倍以上15倍未満46111.3%0
15倍以上20倍未満5148.3%2
20倍以上25倍未満2607.6%12
25倍以上30倍未満1098.0%11
30倍以上571.4%25
35倍以上(30倍以上の内数)34−0.1%23

※対象は、10年後の結果が出ている1881年1月〜2016年10月に買った月。各月を起点にした10年は期間が大きく重なっているため、月数は独立した例の数ではありません。このサイトの記事「CAPE(シラーPER)が高い時に米国株を買うと、その後10年はどうなった?」は、物価の上昇分を差し引いた実質のリターンで計算しているため、数字が違います。

CAPEが10倍未満の月に買った場合、その後10年のリターンは平均で年13.5%で、229か月中マイナスになったのは1か月だけでした。一方、30倍以上の月に買った場合は平均で年1.4%で、57か月中25か月がマイナスでした。35倍以上の月からでは平均で年マイナス0.1%で、34か月中23か月がマイナスです。

シラー教授の公開データで、2026年10月のCAPEは40.7倍です。35倍以上の月から始めた10年の平均がマイナスだった水準を、上回っています。

2017〜2021年の30倍以上:5年後はプラスでも、10年後の結果はまだ出ていない

CAPEが30倍以上になったのは、今回が初めてではありません。2017〜2021年にも30倍以上の月があり、このうち、その後5年の結果が出ている35か月では、5年のリターンは平均で年12.6%で、35か月中35か月がプラスでした。

ただし、30倍以上の月から10年の結果が出ているのは、1929年(8月と9月)と、1997〜2002年の時期だけです。2017年以降に30倍以上だった月の10年後の結果は、まだ出ていません。

技術の革新が広がった時期の天井でも、その後10年はマイナスでした。ラジオや自動車、電力が広がった1929年9月のCAPEは32.6倍で、その後10年のリターンは年マイナス3.4%(10年で29%の減少)でした。インターネットが広がった1999年12月のCAPEは44.2倍で、その後10年のリターンは年マイナス0.7%(10年で7%の減少)でした。

シスコシステムズ:業績は伸びても、株価が高値を取り戻すまで25年以上かかった

インターネットの普及の中心にいたシスコシステムズは、業績も伸びていました。2000年7月期の売上高は189億3,000万ドルで、前の年より55.5%増え、純利益も20億2,300万ドルから26億6,800万ドルに増えています。

それでも株価は、2000年3月27日の終値80.06ドルから、2002年10月8日には一時8.12ドルまで、89.9%下落しました。2000年の高値を終値で上回ったのは2025年12月10日(80.25ドル)で、約25年8か月かかっています。

シスコが売上高を55.5%伸ばした2000年7月期の1年間(1999年8月〜2000年7月)、S&P500のCAPEは毎月40倍を超えていました(最も低かった1999年10月でも40.6倍)。2026年10月のCAPEは40.7倍です。

※シスコの株価は株式分割を調整した値で、配当は含みません。

追加検証 2

BAA-AAAスプレッド:10月29日時点で0.49%

CAPEは株価の割高さの程度を示しますが、いつ下がるかは示しません。信用不安の広がりを見る指標の1つが、BAA-AAAスプレッドです。信用力の低いBAA格の社債と、信用力の高いAAA格の社債の利回りの差で、信用不安が強まると広がります。10月29日時点では、BAA格の利回りが6.47%、AAA格が5.98%で、差は0.49%でした。

追加検証 3

金:1月の史上最高値から30.2%下落。実質金利の上昇と投機筋の手じまい

金先物は、1月29日の史上最高値5,586.2ドル(ザラ場)から、10月30日の終値3,898.9ドルまで、30.2%下落しました。

実質金利は2008年11月以来の高さに

実質金利は、金利から物価の上昇分を差し引いたもので、利息のつかない金にとっては、持っていることのコストになります。米国の10年物の実質金利は、2月27日の1.72%から上がり、10月5日には2.95%と、2008年11月以来の高さになりました。

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日付10年債利回り期待インフレ率10年物の実質金利
2026年1月29日4.24%2.35%1.89%
2026年10月29日4.98%2.35%2.63%

※期待インフレ率は、10年債利回りと10年物の物価連動国債の利回りの差(ブレークイーブン・インフレ率)。

10年債の利回りは、1月29日の4.24%から10月29日には4.98%まで上がりましたが、市場が予想するインフレ率は、どちらの日も2.35%で変わっていません。上がったのは、実質金利の方でした。FRBは9月に約3年ぶりの利上げを行い、10月は据え置きましたが、報道によると、10月29〜30日時点で、12月の利上げが75〜86%程度の確率で織り込まれていました(CME FedWatch)。

同じことは2022年にも起きています。米国の消費者物価の上昇率は、2022年6月に前年同月比9.1%まで上がりました。それでも金先物は、3月8日の高値2,078.8ドルから11月3日の安値1,618.3ドルまで、22.2%下落しました。同じ2日の実質金利は、マイナス1.04%からプラス1.74%に上がっています。

10月は、実質金利が下がっても金は下がり続けた

10月に入ると、実質金利は10月5日の2.95%から、10月29日には2.63%に下がりました。それでも金先物の終値は、10月5日の4,156.8ドルから10月30日の3,898.9ドルまで、6.2%下がっています。実質金利の低下とは逆の動きでした。

CFTCが公表する金先物の建玉で、運用会社などの投機筋(マネージド・マネー)の買い建玉を見ると、金が夏の高値をつけた8月25日の15万9,819枚から、10月27日には12万2,508枚まで、2か月で3万7,311枚減っています。実質金利が下がった10月に入ってからも、9月29日の13万1,711枚から、さらに9,203枚減りました。

表は横にスクロールできます

日付投機筋の買い建玉8月25日からの増減
2026年8月25日159,819枚―
2026年9月29日131,711枚−28,108枚
2026年10月27日122,508枚−37,311枚

※建玉は先物のみ(オプションを含まない)で、毎週火曜日時点の値。

投機筋の買い建玉は、10月27日時点でまだ12万2,508枚残っています。

1月の史上最高値の後にも、投機筋の大きな手じまいがありました。買い建玉は1月20日の16万3,668枚から2月3日には11万8,936枚まで、2週間で4万4,732枚減っています。そのとき金先物は、2月3日の終値4,935.0ドルから、その後3か月の間に、3月23日には一時4,100.0ドルまで、さらに16.9%下落しました。

まとめ

2026年10月30日、SOX指数は1日で7.20%下落し、7月29日の安値を割り込んで、月足で下落のN波動の形になりました。1994年以降の同じ形の7回では、7回中7回、割った価格からさらに10%以上下げていて、下げの深さは12.4%から74.5%まで分かれました。信用残÷M2は2026年9月に6.34%で、ITバブルの天井だった2000年3月の6.33%とほぼ同じ水準です。1997年以降の6つの山では、比率が高い山ほど下落が深く、その関係に今の6.34%を当てはめた計算上の下落率は、日経平均66.9%、S&P500 54.0%、ナスダック総合指数72.4%、SOX指数78.9%でした。CAPEは2026年10月に40.7倍で、過去に30倍以上の月から始めた10年のリターンは平均で年1.4%、35倍以上では年マイナス0.1%でした。金は1月の史上最高値から30.2%下落し、その間に米国の10年物の実質金利は2008年11月以来の高さまで上がり、投機筋の買い建玉は8月25日から10月27日までに3万7,311枚減っています。

この検証の限界

この記事の数字を読むときは、次の点に注意してください。

  • SOX指数の局面は7回、信用残÷M2の山は6回と少なく、回帰分析の結果は、1つの山を除くだけで大きく変わります。6つの山から1つずつ除いて計算し直すと、6.34%での下落率は、日経平均が62.1〜78.7%、S&P500が46.1〜71.4%、ナスダック総合指数が66.9〜75.1%、SOX指数が75.8〜82.1%の間で動きました。
  • 回帰分析の値は、比率と下落率の関係を延ばした計算上の値で、比率の高さが下落の深さを決めるという因果関係を示すものではありません。深く下げた2000年3月と2007年7月の山の後は、どちらも米国の景気後退と重なっていました。
  • 動画では、回帰分析の結果を日経平均66.5%(約24,400円)、S&P500 53.8%(約3,620)、ナスダック総合指数72.2%(約7,710)、SOX指数78.7%(約3,120)と紹介しました。動画の比率の値(2000年3月の6.34%など)は週次のM2の月平均で計算した値ですが、同じ値で山を選ぶと、2015年の山は4月ではなく6月になります。この記事では、FRBの月次のM2で山の選び方と比率の値をそろえて計算し直したため、数字がわずかに違います。
  • 信用取引残高は、2010年2月からFINRAの規則に基づいて全会員企業の合計で集計されていて、それより前とは集計の対象が違います。2000年・2007年の比率と今の比率は、厳密には同じ基準ではありません。
  • CAPEの水準別の数字は、各月を起点にした10年が大きく重なっていて、独立した例の数ではありません。30倍以上の月から10年の結果が出ているのは、1929年と1997〜2002年の2つの時期だけです。
  • 主要な高値・安値の判定ルールが違えば、下落のN波動の判定や、割った回数・価格は変わります。「底」は、あとから分かる最安値です。
  • 建玉のデータで分かるのは、投機筋の買い建玉が減ったことまでです。誰が、どんな理由で売ったかまでは分かりません。
  • 本記事は過去データの検証であり、将来の値動きを保証するものではありません。また、特定の商品の売買を推奨するものではありません。

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公開日:2026/11/02 | データの時点:株価・指数・金先物はYahoo Financeの日足(2026年10月30日まで)。信用取引残高はFINRA、M2はFRB(FRED、季節調整前の月次)で、ともに2026年9月分まで。CAPEはシラー教授の公開データ(2026年10月分まで)。金利はFRED(2026年10月29日まで)。金先物の建玉はCFTC(2026年10月27日分まで)